アディダス(ADIDAS)は8月22日、カスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)が退任することを発表した。後任は未定。引き継ぎをスムーズに行うため、同氏は後任が決定するまで現職に留まり、退任は2023年前半になる見込みだという。
同氏は16年1月、現職に就任。08から16年まではヘンケル(HENKEL)のCEOを務めていた。それ以前は、オラクル(ORACLE)やヒューレット・パッカード(HEWLETT PACKARD)で要職を歴任している。アディダスは20年8月、ローステッドCEOの任期を26年7月まで延長しているが、予定より早い退任となった。
アディダスの監査委員会のトーマス・ラーベ(Thomas Rabe)会長は、「ここ数年はコロナ禍の影響や地政学上の問題などによる難局に直面してきたが、CEOを交代し、再出発するのに適切な時期が来たと思う。事業戦略の立て直しやデジタル化の促進など、当社に多大なる貢献をしてくれたカスパーに深く感謝している」と語った。
ローステッドCEOは、「アイコニックなスポーツブランドである『アディダス』で、チームとともに素晴らしい成果を上げられたことを誇らしく思っている。しかし、ここ数年は主に外部要因によって難しい舵取りを強いられ、困難を乗り越えるに当たっては大変な労力を要した。このため、会社にとっても私個人にとっても、23年に新たなスタートを切るのが良いと判断した」と述べた。
同社が今月4日に発表した22年4〜6月期(第2四半期)決算は、ロシアにおける休業措置や中国でのロックダウンなどの影響を受け、売上高は前年同期比10.2%増(現地通貨ベースでは約4%増)の55億9600万ユーロ(約7666億円)と成長が鈍化。営業利益は同27.8%減の3億9200万ユーロ(約537億円)、純利益は同24.0%減の3億900万ユーロ(約423億円)だった。なお、アディダスは21年8月、傘下の「リーボック(REEBOK)」をブランドマネジメント企業のオーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP)に売却している。