「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。
今回は、元「パパ活女子」の投稿からスタート。
ソーシャルエディター津田:つい最近、Twitterで「『ディオール(DIOR)』とか『サンローラン(SAINT LAURENT)』とかより、一周回って『ロエベ(LOEWE)』『メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)』『メゾン キツネ(MAISON KITSUNE)』辺りの方が良くない???」という投稿を見かけました。何気ない呟きだと思うのですが1.3万いいねとバズっていたので、「何故だろう?」と疑問に感じ投稿者のアカウントや紐付いているリプライを確認したところ、どうやら投稿者のプロフィールに「p活やめています」との記載があったために、該当ブランドのファンや服好きの方々が「パパ活界隈で、自分の好きなブランドが流行るのが嫌だから本当にやめてほしい」といったネガティブなツイートが多く、それが理由でバズっているようでした。特に「メゾン マルジェラ」に対してのリアクションが多かったです。
> 「シーピー カンパニー」が50周年の記念本 三池崇史監督ら50人が登場
服だけに限らず、自分が好きなものや密かにお気に入りだったブランドが有名になってしまうことに対して、少し悲しかったり寂しい感情になったりする気持ちはわかります。私はデザイナーのマッシモ・オスティ(Massimo Osti)が大好きで、その流れから「ストーンアイランド(STONE ISLAND)」や「シーピー カンパニー(C.P. COMPANY)」も好きなのですが、「ストーンアイランド」がここ数年で流行りに流行ったり、モンクレール(MONCLER)に買収されたりした時は、遠くに行ってしまったようで何故か悲しかったです。ブランドが大きくなっているのは、とても良いことなのですが(笑)。でも、はっきり言わせてもらうと、他人が着るものに対して文句を言うのはナンセンスだと思います。もちろんいろんな気持ちがあると思いますが、そこはグッとこらえて、同じように見えないコーディネートを工夫してみるのはいかがでしょうか?
> 【先行実物レビュー】ユニクロ×マルニ16型を紹介 どんなブランド?
> ユニクロ×「マルニ」の仕掛け人、勝田執行役員に聞く ユニクロが考えるコラボの成否とは?
記者村上:この手の「私たちが好きな世界を荒らさないで~!」的な、“愛”ゆえの叫びって、常々ありますよね。例えばちょっと昔は、熱狂的なエディ・スリマン(Hedi Slimane)信者や、以降「ディオール オム(DIOR HOMME)」のファンになった人たちが、歌舞伎町のホストまで「ディオール オム」を着るようになって、「やめてくれ~」と叫んだことがありました。考えれば最近の「ユニクロ(UNIQLO)」×「マルニ(MARNI)」のように、手頃なブランドがデザイナーズとタッグを組むと、一部デザイナーズブランドのファンが「悲しい」的なコメントをするのも、似たような心理状況なのかな?って思います。僕も、かつてはそんな風に思うことがあったけれど、今は「仲間が増えるかもしれないなら、いいんじゃない?」って思っています。ホストの世界でも「ディオール オム」が流行っている、と聞いたときはビックリしたけれど、取材したら(笑)、ちゃんと時代の移り変わりを踏まえて選んでいました。それは、僕らと全然変わんなかったんです。だから「センスあるじゃ~ん!」って思ったし、そのほかの文脈ではあまりに遠いホストと「ディオール オム」を通じて仲良くなれたら、楽しいかもしれない、とさえ思いました。無論、友達にならなくても良いし(笑)。あまりに排他的になって、ブランドの成長を妨げないようにしたいな、と思います。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。