ファッション
連載 マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」

夏フェス続々、コロナ明けのニュースタンダードはサステナブル?! マリエの「私の34年目のサステナブル」Vol.62

 ここ数週間、週末のインスタグラムは、帰ってきた音楽フェスの投稿で溢れている。コロナはなかなか収束しないが、音楽フェスに心躍っているファンは多いだろう。

 ミュージックフェスティバルとファッションの密接な関係には、伝説のロックフェス「ウッドストック・ミュージック・アンド・アート・フェスティバル(Woodstock Music and Art Festival)」から「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル(Coachella Valley Music and Arts Festival. 以下、コーチェラ)」までが大きな影響を与えてきた。数々のセレブリティやインフルエンサーがとっておきのおしゃれをして挑む「コーチェラ」のスナップショットをが楽しみにしている人も多いだろう。

 汗をかいて大地を踊りまくるフェスもあれば、おしゃれをして訪れたくなるフェスも数多い。ミュージックフェスには単なるバケーションルックとは違う他の要素が注ぎ込まれ、一方それぞれが音楽におけるアイデンティティを盛り込もうと意気込んでいる。だから格別に楽しいのだ。

 日本でもさまざまなミュージックフェスティバルがカムバックした2022年、サステナブルな取り組みも取り入れられるようになった。

 なかでも8月21日に開催された「フリーダム(FREEDOM)」in淡路島には、サステナブルに特化したエリアが設けられ、音楽とファッション、フードの新しいサステナブルな関係性が築かれた。今回は、私も現場をプロデュースさせていただいた。

 全ては「FREEDOM」の発起人であるアーティスト・シンガーのminmiさんが、「自分もサステナブルなアクションを始めたい」と相談してくれたことから始まった。私もminmiさんも、現在30人弱ほどからなる環境省のサステナブルアンバサダー、”森里川海アンバサダー”の仲間同士。全ては、定例会トークセッションから始まった。

 以前も書かせていただいたように、フェスやライブでのグッズ生産はアパレル産業が担っている。一度に大量の生産物があり、コロナ初期には中止となったフェスやライブのために作られてしまった大量のグッズやTシャツが問題視されていた。そんなこともあり、今回はどのようにしてグッズをサステナブルにするかミーティングを重ね、天然性の素材に地産地消の技術や伝統を活用した。淡路島に工場を構える藍染の職人たちと、豊島による世界中の綿花のうちオーガニックコットンの割合を10%まで上げることを目標とする”オーガビッツ”を使い、家族連れが多いフェスならでの藍染めのワークショップを開催した。他にも淡路島で活動するアパレルブランドとは、オリジナルの手ぬぐいなどをプロデュース。現地や近隣の土地に根付く職人とのコラボレーションは、その場所をよく知る者達と音楽とファッションでつながる特別なエリアとなった。もちろんフードエリアも地産地消で、グルテンフリーや体にも地球にも優しい物が揃った。問題視されていたカトラリーなどのプラスチックゴミ問題も解決すべく、サステナブルな試みが導入された。さらに今回の試みに賛同したコスメブランドはブースを構え、音楽を肌で感じ、ファッションとコスメ、フードとの新しい出合いを提供できるサステナブルエリアが完成した。

 大自然の中で、音楽とファッション、そして風土を楽しみながら開かれたミュージックフェスは、ライフスタイルそのものが詰まった場所になった。課題はまだまだ山積みだが、アーティストという特別な存在の発する声には”力”がある。そして、その歌声に集まる人々のアクションは、さらに波を広げるだろうことを体感出来るフェスとなった。大量生産・大量廃棄だったフェスやライブグッズのあり方は、未来循環型に変化しなければならない。その挑戦は、これからも続く。

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