毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年8月29日号からの抜粋です)
大塚:最近20代半ばから30代前半に面白いデザイナーがたくさん出てきているのですが、海外に出ている30代半ばから後半を“若手”とくくってしまっていて、それより若い世代を紹介する機会がなかなか作れていなかったんです。それで、これから世界に出ていくであろうニューパワーをまとめて紹介しようと今回の特集を企画しました。
大杉:私もコロナ禍が始まった頃から、業界で10年くらい経験を積んだ実力のある30歳前後のデザイナーが独立してきているなと注目していました。作っているものにも自信やメッセージ性があり、ちょうど私と同世代ということもあって共感できて。波が来ていますよね。
大塚:注目のデザイナー5組を集めて、座談会と表紙撮影をしました。ひとくくりにはしづらいけれど、職人肌な感じや偏愛ぶりなど、ファッションへの一直線な熱量は上の世代と共通していると感じました。日本の技術をリスペクトしていて、そこをもっと発信したいという意欲も強いですね。
大杉:私が取材して注目したのは、「一緒に働く人を幸せにしたい」というスタンスです。これまで世界で活躍するようなデザイナーは、強いカリスマ性があり、血を吐くほど努力をして道を開いてきた人が多かったですが、今回取材した世代にはそういった必死さが感じられず、みんな個性はバラバラだけれど、自然体だなと感じました。もちろん努力もするし、苦労もしているのですが、持続可能でみんなが幸せになれるような方法で成長を目指しているというのが特徴だと思います。
大塚:確かに。弟子として誰かの影響を強力に受けている感じがなく、いろんなところからインスピレーションを得ているというのも新しいと感じます。
大杉:イメージ作りや発信もうまいし、卸をベースにしつつも、SNSで告知をして受注会をリアルとオンラインで同時に開いたり、ファーストシーズンからECで販売したりしています。インスタやメールの通知で「買いたい」と思わせる情報発信も上手です。
大塚:偉大な先人たちが切り開いた道を歩く、新しい世代が出てきたというポジティブなムードを伝えたいですね!