2023年春夏シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」(以下、東コレ)が8月29日に開幕した。9月3日までの6日間、国内外のバイヤーやジャーナリストに向けて、全49ブランドがリアルショーやオンライン形式でコレクションを披露する。
「WWDJAPAN」は今シーズンも、総力をあげて東コレを取材。ここでは、取材班が“イケてる!面白い“と思ったブランドを毎日リポートする。2日目は「ハイドサイン」「ネグレクトアダルトペイシェンツ」「ホウガ」をお届け。
東コレ取材5シーズン目
編集部 美濃島
「ハイドサイン(HIDESIGN)」1 / 1
見どころ:普段はプロ向けのユニホームをデザインするハイドサインが、スタイリストでファッションディレクターの山口壮大をクリエイティブディレクターに迎えて、ファッションブランド「ハイドサイン」として東コレに参戦!ブルーカラーやホワイトカラーに分類されない労働者=“グレーカラー“に向けた新しいユニホームを提案しました。日本のワークウエアらしい緑がかったグレーをキーカラーに、マルチポケットのギミックと、アームカバーやベストによるレイヤードで、作業着をファッションとしてアレンジ。それぞれのポケットがハンマー用、ヘラ用、カッター用と特定の用途があるのも、ユニホーム企業ならではです。さらに、「当たり前のようにこだわってきた、長く使える耐久性」(吉井秀雄ハイドサイン社長、チーフデザイナー)と、東レが開発した植物由来の素材を採用し、環境にも配慮しました。いくつかのピースは一般消費者向けに販売する予定とのことで、ビジネス面の成果も楽しみです。入り口で来場者一人一人がタイムカードを切る演出からも、現場仕事へのリスペクトを感じられました。
東コレ取材2シーズン目
ソーシャルエディター佐立
「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS)」1 / 1
見どころ:毎シーズン、プレイフルな演出で観客を楽しませてくれる「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS、以下ネグレクト)」。今回は、「ランウエイなのに歩かなかったら」という渡辺淳之介デザイナーのアイデアから、"可動式の壁"に最初のモデルが乗って登場しました。恒例の麺を食べるパフォーマンスは、麺を用意まではしていたけど「そろそろいいかな」と卒業を決断。自由なクリエイションが「ネグレクト」らしいです。1990年代を感じさせるルックは、英国ロックバンドのブラー(Blur)などブリットポップの音楽シーンがインスピレーションだそう。"可動式の壁"の花柄模様は「SONG2」のミュージックビデオを再現。スポーティーな素材、ゆったりとしたシルエットやトラックスーツなどは、英国で"チャヴカルチャー"とステレオタイプ的に呼ばれた労働者階級の若者のファッションを連想させます。
東コレ取材は10年目
ファッションリポーター大杉
「ホウガ(HOUGA)」1 / 1
見どころ:「ホウガ」は今季、ロックやパンク、ストリートの要素が加わった力強いコレクションを見せました。「ほっこりとした、甘いテイストのブランドだと言われることが多い」と石田萌デザイナーが話す通り、実は私もそのようなイメージを持っていた一人でした。しかし、その印象は一変。得意とするラッフルやギャザーなどの要素はありつつも、フリルがランダムに接ぎ合わされていたり、ボリュームが増していたりと、反骨精神を感じさせます。シーズンテーマも「MY WILL, OUR WILL(私の意思、私たちの意思)」と、意思を持つことで「世の中の当たり前に流されないで」という思いを込めたそうです。目を引くシルバーやルビーピンク、サファイアブルーなどのカラーパレットは、石田デザイナーが幼少期から少しづつ集めてきた鉱石や宝石の色から着想を得たそう。「大切なものを守るため、自分の意思に自信を持てるように」と。社会問題や環境問題が避けられないトピックになっている今、そいうったメッセージのある服は、人の心を動かし、共感を得られるはず。“かわいい”や”かっこいい”だけでなく(見た目は大前提ですが)、ファッションの持つパワーを感じられたコレクションでした!