神戸阪急は31日、本館・新館の一部フロアを新装オープンする。新館1〜3階は、「ハンキュウ モード コウベ」と銘打ち、神戸の感度の高い消費者に向けてコンテンポラリーファッションを軸にビューティや雑貨もミックスする。本館2〜4階はデジタルを活用したパーソナルな化粧品の提案に磨きをかけ、「コウベ ハンキュウ ビューティ」としてリニューアルする。
同店がある三宮の周辺には、大丸松坂屋百貨店の主力店舗で強固な顧客基盤を持つ大丸神戸店がある。また阪急本店の所在する梅田駅にも電車で約20分と、商圏が近接している。30日に開かれたメディア向け内覧会で杉崎聡店長は、「品ぞろえの物量や新しさで(他店と)張り合うつもりはない。神戸に住む人々の価値観や審美眼をいかに理解し、寄り添えるか。これが当店の存在意義になる」と語った。
新館の「ハンキュウ モード コウベ」は、「ジル サンダー(JIL SANDER)」「ケンゾー(KENZO)」「アレキサンダー・マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)」といったコンテンポラリー・ハイデザイナーズファッションを主役とする一方、雑貨や食などの比率を約3割まで高めた。「神戸人はトレンドに流されることなく、エレガントな遊び心を持ち、自分なりの美意識を持って物を選ぶ。売り場もそれにマッチしたものでなくてはならない」と杉崎店長。
フロア中央は、「クロエ(CHLOE)」による世界初のジェラートスタンド「クロエ・ル・グラシエ(CHLOE LE GLACIER)」(2階)や香水セレクトショップの「ノーズショップ(NOSE SHOP)」(同)、ビンテージのレアスニーカーショップ「ワームコウベ(WARM KOBE)」(3階)などをジャンルレスに集積する。その他にも神戸初出店の英国インテリアショップ「ザ・コンランショップ(THE CONRAN SHOP)」(3階)があったり、「トム ブラウン(THOM BROWNE)」(2階)にバーが併設されていたりと、画一的でないフロア構成が回遊する楽しさを生み出す。神戸ならではの店内演出として、「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)」では神戸港の造船所の木材を、「マルニ(MARNI)」では景観維持を目的に間伐した市街地の材木を什器に取り入れた。
本館「コウベ ハンキュウ ビューティ」の2階は“ラグジュアリービューティ”をテーマに国内外約30ブランドをラインアップ。中央には「ビューティステーション」を設置してメイクアップイベントやライブ配信などのイベントを行う。資生堂やコーセーの「コスメデコルテ(DECORTE)」はオンラインカウンセリングに特化したカウンターや個室を用意し、「M・A・C」はタブレット端末によるバーチャルメイクが可能。3階は「アヴェダ(AVEDA)」「サボン(SABON)」といった比較的値ごろなバス・ボディーケアで若年層やギフト需要を取り込む。4階は、顔専門のトレーニングプログラムを提案する美顔機器の「ヤーマン(YA-MAN)」をはじめ、体験型コンテンツが豊富だ。
阪急阪神百貨店は約80億円を投じ、23年秋までに神戸阪急の全館営業面積の9割を改装する。旧そごう神戸店(〜2019年10月)時代から長らく大規模改装がなされないまま、婦人服に偏っていたカテゴリーバランスをテコ入れする。神戸市による三宮地区の再整備事業とも足並みをそろえ、エリア密着型百貨店として刷新を進める。6月には新館1階に「バレンシアガ(BALENCIAGA)」「セリーヌ(CELINE)」「ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」をオープンした。