ウクライナ人デザイナーのレシャ・ヴェルリンジェーリ(Lessja Verlingieri)によるドレスブランド「レバークチュール(LEVER COUTURE)」が8月31日、日本で初のファッションショーを東京国立博物館 表慶館で披露した。「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」冠スポンサーの楽天がショーの開催をサポートし、ウクライナと日本文化に着想を得たイブニングドレスの新作を通して、平和への願いを東京から世界に発信した。
“ウクライナの涙”のドレスを着用して
ウクライナの国民的歌手が熱唱
「レバークチュール」は2011年にベルリンでスタート。同年に行ったデビューショーが、レディー・ガガ(Lady GaGa)のファッション・ディレクターを務めてきたニコラ・フォルミケッティ(Nicola Formichetti)の目に留まり、ガガをはじめ、ミラ・ジョヴォヴィッチ(Milla Jovovich)やジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)、ケイティ・ペリー(Katy Perry)らハリウッドセレブたちも着用した。大判のスパンコールやテープなど大胆な素材を用いながら、ボリュームのある立体的なシルエットをエレガントに演出するのが得意なブランドだ。現在はイブニングドレスの需要が高いロサンゼルスに拠点を移している。
今回のコレクションは、ヴェルリンジェーリの才能を見出したフォルミケッティとの対話から生まれた。フォルミケッティはイタリア人の父と日本人の母の間に生まれ、日本で幼少期を過ごしたルーツがあり、日本を感じさせる要素も盛り込んだ。
ショーには、ウクライナの国民的歌手であり、ブランドのミューズでもあるチーナ・カーロリ(Tina Karol)が駆けつけ、ライブパフォーマンスを行った。ウクライナの伝統的な民謡「コロミイカ(Kolomiyka)」をモダンにアレンジした歌など、ウクライナ語で2曲を熱唱。カーロリが着用したドレスは、ゴールドのスパンコールのヘッドピースを、フリンジにして頭から流れるようにあしらったもので、“ウクライナの涙”をイメージしたものだった。
明るい未来への希望を託した
未来的で伝統的な日本を表現したドレス
オープニングの2ルックは、日本の国旗色をイメージし、白いオーガンジーで体を包んだ立体的なドレスと、赤いオーガンジーのドレスが登場した。帯風のテープを使った構築的なドレスや、フィルムのような素材を使った着物ガウンなど、伝統的な日本らしさとポップでフューチャリスティックな要素を掛け合わせた。ショーのクロージングには黄色と青いオーガンジードレスが登場し、ウクライナの国旗色で幕を閉じた。
デザイナーのヴェルリンジェーリは、最後の挨拶に“MADE IN UKRAINE”のTシャツを着て現れた。「日本で、ウクライナ人の才能を発信できる場所を与えてもらえたことに感謝している。日本の独特な文化と未来的なイメージは、ずっと私のクリエイションのインスピレーション源の一つだった」とコメントし、平和への願いで締めくくった。「母国で起こっていることは胸の張り裂けそうなこと。しかし、私たちデザイナーは、クリエイションによって人の心を動かせることができると信じている。このショーで、明るい未来への希望や、前向きな気持ちを受けとってもらえたらうれしい」。