ECが拡大する中で、実店舗はどうあるべきか。実店舗とECはどのように連携していくべきか。こうした問いへの対応をユニクロが強化している。9月1日、同社がコンセプトとする“LifeWear”の価値を伝えるイベント「LifeWear Exhibition 2022」を、東京・銀座のグローバル旗艦店「ユニクロ トウキョウ」で開始。同時に、同店をバーチャル体験できる仕組みもオンラインで整え、そのままECで商品を購入できるようにした。桑原尚郎ファーストリテイリンググループ上席執行役員兼ユニクロ日本CEOは、イベントに合わせて開いた記者会見で、「実店舗は(単に商品を売り買いするだけでなく)今まで以上にユニクロを理解し、深いつながりを体感していただく場に変えていきたい」「店舗とECとを一体化するサービスを拡充する」と強調した。
同様の展示イベントはこれまでもニューヨーク(17年)、パリ(18年)、ロンドン(19年)で行ってきたが、店舗を会場とするのは今回が初めて。会期は10月末までを予定する。「ユニクロ(UNIQLO)」の2022-23年秋冬物をテーマ別に打ち出すと共に、モノ作りにおけるイノベーションや、サステナビリティに関する取り組みをインスタレーション形式で発信。巨大な“ウルトラライトダウン”を使った写真撮影スポットや、オリジナルブレンドのコーヒーが楽しめるコーヒースタンドも店内に設けた。東京だけでなく、ニューヨーク、パリ、ロンドンの旗艦店でも同様のイベントを開催している。
“お取り寄せ”サービスも開始
バーチャル店舗はイベントの特設サイトからアクセスが可能で、360度カメラで撮影した「ユニクロ トウキョウ」の1階を擬似体験できる。陳列してある商品のうち、56商品はそのままECに遷移して購入が可能だ。ユニクロがこのようなバーチャル店舗を公開するのは初めて。イベントに合わせて10月末で一旦バーチャル店舗は閉じるというが、バーチャル店舗は実店舗とオンラインを一体運営する上で、今後もカギの一つになりそうだ。
実店舗とオンラインの一体化としては、商品の“お取り寄せ”サービスも8月下旬に開始した。これまでもECで購入した商品を最寄りの店舗で受け取る仕組みはあったが、“お取り寄せ”はEC経由ではなく、販売員が商品探しから購入までをサポートし、商品を店頭に手配する。空港内などの一部店舗を除き、国内全店で実施するという。「小型店舗でも、超大型店向け商品やEC限定商品を見たいという声が多かった」(桑原CEO)ことから、小型店舗でも展示する商品数を増やして“お取り寄せ”ニーズに応えていく。
ほか、店舗から行うライブ配信も全国47店に今後拡大。地域ごとのニーズに即した情報を発信し、店頭の販売員が配信中に客の質問にリアルタイムで答えていく。パーソナルカラー診断や骨格診断のコンテンツをオンライン上に設けて、ECでの商品選びのサポートにつなげる。
アンバサダーの綾瀬はるかと平野歩夢も登場
「LifeWear Exhibition 2022」開幕に合わせて行った記者会見には、“LifeWear”スペシャルアンバサダーの俳優、綾瀬はるかと、「ユニクロ」グローバルブランドアンバサダーのプロスノーボーダー、スケートボーダー平野歩夢選手も登場した。綾瀬はバーチャル店舗について「実際に店に来ているみたい。忙しくて買い物に行けないときや、仕事の待ち時間にも買い物ができるのはいい」とコメント。平野はファッションへの思いやこだわりを聞かれ、「服は競技をする中でも気持ちを上げてくれるアイテムの一つであり、自分自身を再確認させてくれる鏡のような存在」などと語った。