ファッション

森川マサノリの「ベイシックス」が初のショーで挑む、創造的で持続可能なファッション

 森川マサノリによる「ベイシックス(BASICKS)」が、「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」でブランド初のファッションショーを行った。配送会社DHLのサポートによるもので、同社が東京・新木場に構える物流施設「東京ディストリビューションセンター」を舞台にした。

 森川デザイナーは、約10年続けた「クリスチャン・ダダ(CHRISTIAN DADA)」を2020年に休止し、21年3月に「ベイシックス」を自己資金で立ち上げた。同ブランドでは“循環”をテーマに、オーガニックコットンやビーガンレザーといった環境配慮素材を使って、森川デザイナーが「自分が日常で着たい」と思うベーシックな洋服を提案している。DHLは、国際団体が行う気候保護プロジェクトなどへの投資により、自社の輸送時のCO2排出量を実質ゼロにする取り組み“GoGreen”を行っている。DHL日本法人のトニー・カーン(Tony Khan)社長は「ファッションとロジスティクス(物流)と業界は異なるが、サステナビリティーへの取り組みでは共通する点があった」と支援の理由を語る。

定番品と古着で作る高感度な“Y2K”

 物流施設に到着し、配送ボックスが高く積まれた通路を通ると、広々とした空間に行き着いた。そこには、同社のスタッフユニホームやデニムの廃棄品が山積みされていた。過剰供給や廃棄問題など、行きすぎた消費に疑問を投げかける演出だ。

 ショーは、白のタンクトップとリジットデニムのファーストルックで始まった。いずれも同ブランドの定番品で、デニムのヒップポケットにはブランドアイコンであるハートのステッチが付く。その後、色落ちしたデニムや着古したレザージャケット、マウンテンブーツなど、古着や余剰在庫を加えてスタイルの幅を広げていく。シルエット補正や色の染め直しといった加工、さらに肌を見せるクロップド丈のインナーやミニ丈のショーツとロングブーツの組み合わせなど、Y2Kを意識したスタイルでトレンド感を加えた。

 「アンブロ(UMBRO)」とも協業し、サッカーユニホーム風のTシャツやサイドにロゴテープをあしらったトラックパンツなども制作した。これらのアイテムにも、オーガニックコットンや無染色の布帛などを使用した。最後は、会場中央に置かれたDHLのユニホームの山が、実はクリノリンドレスというサプライズ演出を披露。持続可能性を意識しながら、ファッションの創造性とエンタメ性が詰まったショーだった。

 同ブランドは現在、直営ECと国内セレクトショップへの卸がメインだが、来年から海外へのセールスを積極的に行うという。さらに「ベイシックス」を継続しつつ、「新ブランドもローンチ予定」と森川デザイナー。「クリエイションに振り切った、全く別のブランドになる。楽しみにしていてください」。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。