ルックホールディングスは、「アー・ペー・セー」から派生したゴルフウエアブランド「アー・ペー・セー ゴルフ」の国内展開を今秋開始する。9月14日、高島屋新宿店9階ゴルフメゾンに1号店を出した。ブランドらしいミニマル&シックなデザインに、ゴルフに必要な機能性を付加したウエアや雑貨・アクセサリーを打ち出す。
韓国で絶好調
エレガンスと遊び心が同居する
アジアでの成功をベースにグローバルへの拡大を見据え、すでに韓国では今春から展開を開始し、江南と光州に店舗を構えた。両店舗は、床にゴルフ場のグリーンをイメージしたじゅうたんを敷き、バンカーをイメージした傾斜を施すなど、エレガンスと遊び心を同居させた。いずれも好調なすべり出しで、特に20~30代の購買率が高いという。「韓国でも新型コロナの影響で、密を避けられるゴルフの人気が高まっている」と木村寛A.P.C.Japan社長。加熱する90年代ブームの中、「当時のファッションシーンの一端を担った『アー・ペー・セー』のゴルフウエアは非常に好意的に受け入れられている」。
日本国内においても感度の高い若者に照準を定める。「(顧客のペルソナは)例えば現代アートを求めて百貨店に来店される若い富裕層のお客さま。そういった方々は、従来のトラディショナルなゴルフファッションでは満足しない。他人とかぶることがない特別感、日常とクロスオーバーするような感度とデザイン性を武器に、徹底した差別化を図っていきたい」とする。
ゴルフに必要なデザインと
機能性の両立
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ファーストシーズンの22-23年秋冬は、メンズ・ウィメンズ合わせて約100型。企画・生産は韓国法人のアイディールックが担う。ポロシャツやパンツ・スカートといった定番スタイルを押さえつつ、メンズでは袖ポケットなどMA-1のディテールを加えたブルゾン、ウィメンズではカジュアルなボアブルゾンをラインアップするなど、従来のゴルフ場のスタイルにとらわれないアイテムもラインアップする。
デザインはメインコレクションとは異なる、豊富なスポーツウエアの知見を有するチームが手掛け、ブランド創設者のジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)が監修。パリブランドらしいエスプリを感じさせる洗練されたデザインでありながら、吸水速乾やストレッチ性の高い素材などを使用することで、ゴルフに必要な機能性も備えている。価格帯はカットソー、ポロシャツが日本円で3万~4万5000円、アウターが6万3000円~12万円、ボトムスが4万3000円~6万3000円、キャップ、グローブ、キャディーバッグやヘッドカバーなどの雑貨やアクセサリー類が6000円~12万円。
「本物のクオリティーと
世界観を守る」
ブランドの世界観を守るため、拡大戦略には慎重を期す。日本国内では、主要都市の百貨店を中心に、5年以内で数店舗の出店を計画する。「空前のブームの中でゴルフブランドがどんどん生まれているが、それらが選別淘汰される時期は必ずやってくる」と木村社長。そのフェーズを乗り越えて生き残れるのは“本物”のブランドだけ。そうあるために最も重要なのは、(『アー・ペー・セー』の)世界観やクオリティー。そして、届けるべき方々に届けるという信念を貫くことだ」。
「ゴルフはシックで礼儀正しく。
ファッションは
エレガントであるべきだ」
WWDJAPAN(以下、WWD):「アー・ペー・セー」にとって、日本市場とファンの重要性は?
ジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)「アー・ペー・セー」デザイナー(以下、ジャン):もちろん大切な存在だ。日本の人々は、フランスの一部の一流プレスの次に、私の作品を理解してくれたからね。そのことに対して、私はずっと敬意を抱き続けるよ。
WWD:あなた自身もゴルフをプレーする?
ジャン:プレーするよ。僕はエレガントでない格好でゴルフをしている人を見ると悲しくなるし、「アー・ペー・セー ゴルフ」でそれを変えたいと思っている。世界中のゴルファーが“プロ・ワナビー(プロ気取り)”な服装をしているが、問題はそのプロですら格好よくないということだ。彼らは素晴らしい体格をしているのに、スポンサーシップのせいでひどい服装になってしまっている。われわれアマチュアは、まあまあな体格に、似合わない色のテカテカした生地で作られた不格好なロゴが付いている服を着ていて、場合によってはマナーすら悪かったりする。ゴルフは、スコアをあまり気にせず、とにかく楽しむことだ。シックで礼儀正しくあれ。そして集中している時以外は、ジョークを飛ばして和やかにいこう。
WWD:「アー・ペー・セー ゴルフ」のデザインで重視していることは?
ジャン:カット、カラーパレット、生地の機能性、そしてスポーツ上の効率性。
WWD:「アー・ペー・セー ゴルフ」が「アー・ペー・セー」から受け継いだエッセンスは?
ジャン:バランス感覚とユーモアだ。私は、われわれのようなゴルフのアマチュアが、テレビで見たようなスーパーショットを打とうとしているのを見て笑うのが好きなんだ。それはギターを始めたばかりの人間が、ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)のように弾けると思い込むようなものだからね。絶対に無理だよ。
WWD:「アー・ペー・セー ゴルフ」の今後について。
ジャン:いつも同じ質問をされるんだが、将来のことを考えるのはうんざりだ。正直どうでもいいというか、私は今この瞬間を楽しみたい。一つ言えることは、「アー・ペー・セー ゴルフ」は良いブランドだし、遅かれ早かれ全ての国で展開するようになるだろうということぐらいだな。
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