岩田翔と滝澤裕史が手掛ける「ティート トウキョウ(TIIT TOKYO)」が5日、2023年春夏コレクションをランウエイショー形式で披露した。同ブランドは昨年、ブランド設立10年目の節目にショーを開催。11年目を迎え、「未来に向けてさらにステップアップするようなランウエイをやりたかった」と岩田翔デザイナーは語る。
ショーの舞台は、東京の新国立競技場だ。施設の建て替え後、デザイナーズブランドによる単独ショーはこれが初めてで、ジャーナリストやバイヤー、インフルエンサーら約500人が来場した。会場のナイター照明は消し、スポットライトでトラックを照らすシンプルな演出。夜空が見えるドラマチックなムードだ。
今シーズンのテーマは“ドリーマーズ(The Dreamers)”。イタリアの映画監督、ベルナルド・ベルトルッチ(Bernardo Bertolucci)が手掛けた同名の映画に着想した。「彼の作品はセンシュアルだけどポエティック。特にこの作品はそれが顕著で、深みのある世界観を表現したくて」と岩田デザイナー。透け感のある素材や体のラインを拾うシルエット、大胆なカットアウトを多く採用したウエアは、テーマの通り色気のあるスタイルだ。カラーもライトベージュやブラウンなどのヌーディーなパレットで、バストやウエストを強調するような切り替えとパターンワークも目立った。
同ブランドらしいエレンガントなディテールとして、花の刺しゅうやビジュー、細やかなフリルなども見られた。しかし、いつもより装飾は少なめで、削ぎ落とした印象もある。「初めて“引き算”を念頭に置いて作りました。ブランドと物が社会に溢れる今は、そのほうがメッセージが伝わると思うから」。ポロシャツやブルゾンなど、競技場の雰囲気にもマッチするスポーティーなウエアも披露した。