ファッション

スラム街の廃棄物アートが伝えるメッセージ 美術家・長坂真護が個展

 廃棄物からアートを作る長坂真護(ながさか・まご)氏による展覧会「長坂真護展 Still A “BLACK” STAR Supported by なんぼや」が9月10日から11月6日まで東京・上野の森美術館で開催される。気鋭の美術家として話題の長坂氏にとって初の美術館での個展となる。

 会場に並ぶ約200点の作品は、パソコン、携帯電話、ビデオデッキ、ラジカセ、ゲーム機、テレビ、リモコン、衣料品、靴、ペッドボトルなどの廃棄物を用いたもの。捨てられた電子機器をキャンバスに貼り付けて油絵を施したり、大量の古着を重ね合わせたドレスのオブジェを作ったり、それらの作品は実に生々しく消費社会への批評にもなっている。

 2017年に訪れたアフリカのガーナで、日本を含めた先進国から持ち込まれた廃棄物の山を見たことが今の作風につながった。長坂氏は「美しかったラグーン(海の浅瀬)がわずか十数年で先進国からのゴミでいっぱいになり、スラム化した風景に衝撃を受けた。この現実を世界中の人に伝えようと決めた」と話す。以来、“サステナブル・キャピタリズム(持続可能な資本主義)”を提唱。スラムに溜まった廃棄物をアート作品に活用し、その売り上げを現地の人々に還元する活動を続ける。伊勢丹新宿本店、大丸東京店、三越日本橋本店などで開催した美術催事も反響を呼び、計画を大幅に上回る販売実績を記録した。

 今回の展覧会は、ブランド品の買い取り店「なんぼや」を運営するバリュエンスホールディングス(HD)が特別協賛する。バリュエンスHDは長坂氏の問題提起に共感し、グローバルパートナーとしてその活動を支援している。同社のニューヨーク、パリ、香港の現地法人に長坂氏のギャラリーを併設するなど、海外での認知拡大をサポートする。

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