ファッション

NYコレ開幕 「ケイト・スペード」は突然の雨の後の幸せで、ハプニングが運ぶ幸せを表現

 2023年春夏シーズンのニューヨーク・ファッション・ウイークは、「ケイト・スペード ニューヨーク(KATE SPADE NEW YORK)」から始まった。会場は、米同時多発テロの犠牲者を追悼する記念碑に隣接する、ワールドトレードセンター。高層ビルの78階というプレゼンテーション会場に到着すると、まず目に飛び込んできたのは、鮮やかなグリーンとNYの街並みが一望できる絶景。グリーンは、新しいシグネチャーカラーになるそうだ。

 その次に気づくのは、水の音だ。マンハッタンの摩天楼を背景にまっすぐ伸びる緑地帯の天井、雲に見立てたバルーンの合間から、雨が降っているのだ。その両脇に並ぶモデルたちは、大きな花柄やレッド、ピンク、イエローといったポップなカラーパレットのルック姿。雨は大きな水玉やストライプでも表現されている。レイングッズも含め、こんなにカラフルでカワイイ洋服がまとえるのなら、雨の日も捨てたもんじゃない。そう思える新緑の日を想像させた。

 世の中には、雨をネガティブにとらえる人もいるだろう。でも、雨の後の空の美しさや虹は、ラッキーをもたらすものでもある。世界の多くの人にとってそうであるように、パンデミックはネガティブなものだったかもしれない。その変化は、望んでいないものだったかもしれない。起きたハプニングを「不運」ととらえるのは簡単なことだが、美しくてハッピーな変化へのきっかけと捉えることもできる。そう、まるで、突然降ってきた雨のように。

 設立から30年を迎えた「ケイト・スペード ニューヨーク」は23年春夏コレクションを、“最も予期していないタイミングで遭遇した冒険”と位置付けた。不安定な時代だからこそ、“雨のような”ハプニングもアドベンチャーとして楽しみたい。過去の30年間のアイデンティティを振り返りながら新しい個性を模索して進むブランドが、予測できない人生のワクワクを教えてくれた。

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