「フェンディ(FENDI)」は、ニューヨーク・ファッション・ウイークの初日である9日、2023年春夏コレクションのショーを開催した。アイコニックなバッグ“バゲット(Baguette)”の25周年を記念し、「ティファニー(TIFFANY & CO.)」とのコラボバッグが登場したほか、マーク・ジェイコブス(Marc Jacobs)とのコラボコレクションも披露した。
1997年に誕生した“バゲット”は、フランスの女性が地元のベーカリーで買ったバゲットを腕の下に抱えて街を歩く姿にインスピレーションを受け、シルヴィア・フェンディ(Silvia Venturini Fendi)=アーティスティック・ディレクターがデザイン。ニューヨークを舞台とした人気ドラマシリーズ「セックス・アンド・ザ・シティ(SEX AND THE CITY)」で、メインキャラクターの一人であるキャリー・ブラッドショー(Carrie Bradshaw)が愛用していたことで一躍注目され、世界中で人気となった。こうしたニューヨークとのつながりのほか、2020年12月に「フェンディ」の親会社であるLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)が「ティファニー」を総額158億ドル(約2兆2120億円)で買収して傘下に収めたことなどから、今回の協業が実現したと見られている。なお、「ティファニー」はLVMHによる買収後、初めてのコラボとなった。
「ティファニー」×「フェンディ」の“バゲット”は、鮮やかな“ティファニーブルー”のクロコダイルやスムースレザー、シルクサテン素材で作られたバッグに、シルバーやホワイトゴールドの留め具やチャーム、ダイヤモンドなどがあしらわれている。サイズはミディアムとナノがあり、前者はスマートフォンや小物類が入る複数のポケットを内側に付けて利便性を高めた。また、エナメル製の“バゲット”型チャームなども用意した。発売は23年1月の予定で、価格は2350~14万ドル(約32万〜1960万円)。両ブランドの店舗などで取り扱う。
「フェンディ」の23年春夏コレクションは、カラフルなスポーツウエアと美しくテーラリングされたスーツ、アウターなどが印象的。スリップスカートの上にチュールが重ねられていたり、スエットシャツとスパンコール合わせてあったりと、マキシマリストなディテールも豊富に見られた。マーク・ジェイコブスが手掛けた作品は、ショーの後半に登場。ヒストリカルでロマンティックな雰囲気とストリートウエアをミックスした10のルックを披露した。また、「マーク ジェイコブス」のアイコニックな“ザ トートバッグ(THE TOTE BAG)”の特徴であるロゴデザインを移植し、“THE BAGUETTE”とロゴを入れたカーフスキン製の“バゲット”や、スワロフスキー(SWAROVSKI)のクリスタルをふんだんにあしらったモデルなども発表した。
「フェンディ」のウィメンズとクチュールを率いるキム・ジョーンズ(Kim Jones)=アーティスティック・ディレクターは、「ティファニー」のニューヨーク5番街旗艦店の近くに「フェンディ」の店舗をオープンした際、ダイヤモンドに“バゲット・カット”というカットがあると思い出したことも、今回のコラボレーションにつながっていると説明。「現在、世界中で陰鬱な出来事が起きているので、何か楽しいことをしたいと思った。『ティファニー』『マーク ジェイコブス』『フェンディ』を組み合わせることで、遊び心に満ちた、祝祭的なコレクションとなった」と語った。