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気になるシューズブランドとビューティアイテムの売れ筋は? ドクターマーチン/カンペール/アットコスメトーキョー/ミルボン アイディー/ビューティーコネクション ギンザ

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 秋冬商戦本番直前の6〜8月に好調ブランドや有力セレクトショップで売れたものは何か?毎月ウェブに掲載している都内主要ショッピングセンターの高伸長ブランド一覧の中などからシューズブランドのほか、ビューティの注目の売り場をピックアップ。直近の売れ筋トップ3からは、今後につながる人気傾向が見える。

 各ブランドや売り場の売れ筋傾向や今後の予測、ヒット確実と期待するアイテムも一緒に掲載し、今年の秋冬商戦を占う。(この記事は「WWDJAPAN」9月5日号からの抜粋です)


DR. MARTENS
王道シューズに加え、
チャンキーな厚底サンダルがヒット

【ブランド紹介】
 Z世代やミレニアル世代を中心に、ブランドの等身大でチャレンジ精神旺盛かつ、クリエイターらと共に歩み続けている姿勢が共感を呼ぶ。ルミネ新宿では、7月の売り上げは前年同期比40%増。渋谷パルコでも、特にウィメンズが伸びている。

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【直近の売れ筋傾向と今後の予測】

 ブーツのイメージが強いが、ここ数年でサンダルの認知度が上がり、サンダルを目的に来店する人が急増中。口コミやSNS、インフルエンサーを含め実際に愛用している人の意見を参考に購入に至るケースが多かったのが特徴だ。多様なデザイン展開と耐久性のある高い品質と履き心地で、リピーターも多い。夏でもブーツスタイルが定番化していることもあり、定番アイテムも継続的に支持を獲得。7〜8月の傾向としては、厚底スタイルが性別や年齢問わずとても人気。ショーツやミニ丈ボトムスとの相性の良さも要因だと考えられる。秋に向けて、チェルシーブーツなどが人気急上昇アイテムで、機能性や快適性の高いアイテムは来店客からのポジティブな反応が多い。ポイントは、厚底やファスナーなどのデザイン性に加えて、簡単に着脱ができる機能を落とし込んだスタイル(写真、“ジェッタ ジップ ブーツ”3万3000円)。展示会などでも大きな反響を呼んだ。メンズでも厚底需要が高まっており、チャンキーソールの動きに期待する。

■調査員の考察

 飽きのこないデザインや耐久性の高さから、意識せずともサステナビリティを実現できる。王道のブーツスタイルをコツコツとアップデートしながら、サンダル人気を着実に育てた結果が売り上げにつながっている。(ソーン・マヤ/編集部記者)


CAMPER
新デザイナーと共に成長中の注目株
プレイフルなデザインが心をつかむ

【ブランド紹介】
 「歩く時間を楽しい時間にする」というコンセプトをもとに、ユニークなデザインと歩きやすいシューズを提供するスペイン・マヨルカ島発のシューズブランド。長年のファン層に、新デザイナーのアキレス・イオン・ガブリエルが手掛けるデザインに引かれる若い年代の新客が加わっている。売り上げも前年比30%増と好調だ。

【直近の売れ筋傾向と今後の予測】

 6〜7月、ウィメンズではカジュアルなフラットサンダルからヒールサンダルまで、バランス良く売れた。これまでは白や黒に売り上げが集中していたが、今年はピンク、水色、マルチカラーといった夏らしく明るいアイテムも好まれた。メンズではビジネス需要が多かった黒のオックスフォードシューズを、ファッションアイテムとして20〜30代の客層が購入するケースも多かった。この秋は、展示会やメディアでの反応がとても良く、SNSでもすでに話題になっていて問い合わせも多いアイテムに注目。ウィメンズではメンズライクでベーシックなモデルやフリンジやヒールが付いたローファーなど、多種多様なモデルを用意。シーズンカラーであるブルー(写真、“ウォールデン”2万9700円)、マルチプリント、左右非対称のカラーリングなども取り入れる。メンズとユニセックスでは、サーキュラーエコノミーのコンセプトから生まれた、ラバーのトゥーキャップをつけたワラビーシューズが人気になると考えている。

■調査員の考察

 「マルニ」などでシューズデザインの経験を持つアキレス新デザイナーの下で、より遊び心あふれるミニマルなデザインへのアップデートが着々と進んでいる。カラフルさが、自粛からのリバウンド消費にもマッチしているのではないか。(ソーン・マヤ/編集部記者)


@cosme TOKYO
スキンケアより圧倒的に
メイクアップの需要が上昇

【ショップ紹介】
 2020年1月に東京・原宿駅前にオープンしたアイスタイルリテールの旗艦店。3フロア、約1300㎡の面積にリーズナブルな価格帯のバラエティーコスメからプレステージブランドまでをそろえる。観光客が戻り、特に休日は多くの人でにぎわう。5月の売り上げはオープン以来最高を記録した。売れ筋調査期間は5〜8月で、予約販売と問い合わせを含む。

【直近の売れ筋傾向と今後の予測】
 今夏は観光客が増え、特に親子での来店が目立った。接客すると、「2人で使います!」と購入する買い物客も多く見られた。夏の売れ筋傾向は、外出機会が増えたため、リップメイクやしっかりめのファンデーションやメイクキープミスト、日焼け止めなど“お出掛け需要”のアイテムの動きがよかった。またリップカテゴリーが復調し、5〜8月の売り上げが前年同期比約60%増で推移した。プレステージメイクアップの新製品の売れ筋は、予約販売を含め秋の新色が発売となり、アイシャドウが人気となっている。今夏は、スキンケアより圧倒的にメイクアップの需要が高まっている傾向があった。今後は、外出機会増加により酷使した肌のケアニーズとして、8月に発売したアルビオンの新スキンケアブランド「フラルネ」や、「コスメデコルテ」の新製品“リポソーム アドバンスト リペアクリーム”など、既にロングセラーを生み信頼感を得ているメーカーやブランドの新顔にヒットの予感。

■調査員の考察

 駅前の立地もあり人出と共に復調し、館全体の5〜8月の売り上げが、前年同期比約80%増と絶好調。ブランド側の体験づくり、顧客接点づくりのニーズも高まり、1階ポップアップスペースは既に年末まで枠が埋まっている状況。各ブランドが工夫を凝らす施策に注目だ。(澤田まり子/編集部記者)


milbon:iD
ヘアカラー毛に対応した
ケアラインがトップ3を占める

【ショップ紹介】
 美容室向けヘア化粧品メーカーのミルボンが、2020年にBtoBtoC型のECプラットフォームとして開設。「オージュア」や「ヴィラロドラ」など4ブランドを扱う美容室が出店し、消費者は利用している美容室の専用コードを入力してヘアケア商品を購入することができ、美容室の負担になるサイト運営などは同社が担う。美容室専売品のEC販売がご法度とされてきたヘアサロン業界で、そこに着手したことは大きな話題になった。

【直近の売れ筋傾向と今後の予測】

 「1位はダントツで“クエンチ”ラインで、2位は僅差で“イミュライズ”ライン。同2ラインは年間を通して不動の人気で、“リペアリティ”ラインは21年に発売後、1年経たずしてトップ3入りを果たしている。背景にはブリーチデザインやハイトーンカラーのブームが続いていることにより、ブリーチケアに特化した“リペアリティ”ラインが好調な数字になっていると考えられる。“クエンチ”“イミュライズ”ともにカラーダメージもケアするラインとなっており、ニーズの高さがうかがえる」と竹渕マネージャー。今後は、「前述した3ラインが好調を維持しつつも、夏の疲れの蓄積を感じやすい時期であることや、これからの乾燥の季節を踏まえ、スカルプケアアイテムの台頭が予測される。「オージュア」の“グロウシブ グロウエッセンス”[医薬部外品](写真、100mL、6600円)あたりが売れ筋になるだろう」と分析する。

■調査員の考察

 1〜3位まで全て「オージュア」で、“ダメージケア”という共通点もある。“オーダーメイドのヘアケアプログラム”というコンセプトで、同じケアでもラインごとに細分化した機能を持たせた同ブランドならではの結果だ。(中村慶二郎/サロンビューティデスク)


Beauty Connection Ginza
夏の汗やベタつきをケアする
ヘアケア製品が人気

【ショップ紹介】
 東京・銀座の「H&M」跡地に「リファ」や「シックスパッド」などを開発・展開するMTGが2019年11月にオープンした複合施設。「うつくしさの、その先へ、つなぐ」をテーマに、MTGが扱う美容機器・コスメのほか、美容クリニックや飲食などを含めたトータルビューティを提供する。

【直近の売れ筋傾向と今後の予測】

 6〜8月は夏の汗や皮脂、紫外線などによるパサつき・ベタつきを解決するアイテムが売れ筋傾向にあった。“リファスパフォームシャンプー”“リファリッチトリートメント”など、美容サロン専売品を同店が唯一扱っていることもあり、ヘア関連は人気を集めた。秋冬は11月に発売するグローバル展開を見据えた最新機能を搭載したドライヤー“リファビューテック ドライヤースマート”(写真、全2色、各3万8000円)を同店のみで先行販売するため、秋からクリスマス商戦に向けて大ヒット商品になると推測する。また11月8日に同店は3周年を迎えるため、10月以降さまざまなコンテンツを用意して盛り上げていく。

■調査員の考察

 店舗ではフリーのタッチ&トライや体感を一時的に控えていたが、接客メインで来店する人が多いため、要望に応じて適度な距離を保ち再開した。売れ筋商品はいずれもキャンペーンを実施し、該当商品を体験できる効果も高かった。(牧田英子/ビューティデスク)

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