
百貨店からショッピングセンター、個店、ECまで、さまざまなショップを覆面調査員がリポートする連載「ミステリーショッパーが行く!」。今回は東急が運営するアウトレット複合商業施設「グランベリーパーク」を調査。2000〜17年に開業していた「グランベリーモール」を19年にリニューアルした施設で、約8万3000㎡の敷地に約240店舗が入る。そのうちアウトレットは約100店。ファッションを中心にビューティや飲食、エンターテインメントと幅広い業態をそろえ、地域住民に愛される。(この記事はWWDジャパン2022年7月25日号からの抜粋です)
■今回の担当調査員
加賀美勉(56)
PROFILE:百貨店やコンサルティング会社を経て、現在は商業関連メーカーで販促プロモーションの開発にいそしむ。自称“プロの消費者”として百貨店をウオッチし続ける。革靴とワインを語り始めると止まらない
高瀬浩子(46)
PROFILE:百貨店でインポートブランドの販売、広報を経験後、インテリアパーツの輸入・販売代理店に勤務。出産を経験し、今は実務翻訳家として活動。買い物は、マッサージを超えた究極の癒し!と公言
調査日時:加賀美調査員 2022年7月13日(水)16:00~ 曇りのち雨 28℃、高瀬調査員2022年7月16日(土)13:00〜 雨22.7℃
ILUUSTRATION:ERI KOJIMA
【環境・施設】
加賀美:東急田園都市線の「南町田グランベリーパーク駅」に直結。駅と一体化しており、ホームではスヌーピーの像が迎えてくれます。改札に向かう階段にはイメージ映像が映し出されており、電車を降りた瞬間からワクワクする演出が盛りだくさんです。
高瀬:私はリニューアル後初の来訪で、当時から様変わりしていてびっくり!テーマパークに来たような感覚でした。かつては道の両脇に平屋の店舗が並んでいましたが、今は駅に近い“ステーションコート”と、小さな橋を渡った先にあるメイン区画“セントラルコート”の2つの構成。セントラルコートは、立体駐車場を備えた建物を中心に、2層構造のショップがぐるっと囲むように配置されています。
加賀美:歩行デッキが多いため複雑な構造に見えますが、導線は意外に単純で一回りすれば全体像がつかめます。通路幅も広くレストスペースも十分のため、回遊環境は抜群です。さらに芝生の広場や緑道などがシームレスにつながっていて、“買う”“遊ぶ”“憩う”が実現する日本でも数少ない施設になっています。
【MD】
高瀬:ファッションは、「コーチ」「フルラ」などアウトレットの定番ショップをはじめ、「ユナイテッドアローズ」「ビームス」「ビショップ」といったセレクトショップ、「テーラーメイド」「キャロウェイ」などのゴルフなどが入ります。
加賀美:老若男女が楽しめるテナントですね。一方で、アウトレットという業態からか、内装デザインがイマイチの店も少なくなかった。そんな中、さすがだなと思ったのが「ポロ ラルフ ローレン」。ビンテージムードが漂う什器やレザーベンチの入ったフィッティングルームなど、プロパー店舗と遜色のない空間でした。
高瀬:こういうショップがあるから、この施設にまた来たいと感じるのでしょうね。アウトドアはカヤック体験ができる人工池を備えた「モンベル」やキャンプ用の椅子やテーブルでアウトドア料理を楽しめる飲食ゾーンを持つ「スノーピーク」など、面積の広さを生かした体験型のショップが集まっていました。
加賀美:東急ストアや肉の杉本といった食物販のほか、和・洋・中からファストフードまでそろうレストランもあります。フード目的で立ち寄っても良さそうです。
【接客・サービス】
加賀美:アウトレットは多くの客を相手にするため、接客が手薄なイメージもありますが、全体的に丁寧な対応でした。経験豊富なベテランが売り場に立っているのだと思います。
高瀬:「アコメヤ」では、4割引になった「マチュアーハ」の麦わら帽子を発見。スタッフが試着に付き合ってくれて、「この色が一番似合っている気がします」「手作りなので形や大きさに個体差があるので、いろんな在庫を試してみてください」と何度も被らせてくれました。納得のいくアイテムだったので、レジへと向かい無事に購入。退店まで見送ってくれて「お買い上げいただけてうれしいです。お似合いだったのでたくさん使ってください」と言ってくれました。
加賀美:心に残る買い物体験ですね。
【総合】
高瀬:公園やコミュニティースペースなどが隣接し、地域住民の生活とつながっているのが素敵でした。
加賀美:緑が多く、開放的で居心地の良い施設でした。MDにも個性があり、「また来たい」と思えます。
【合計得点】
