REPORT
70’sレトロのツイストで遊ぶヒップなテーラード
アプリコットオレンジやサーモンピンク、コバルトグリーン、マホガニーブラウンなど、パリメンズの中でも特にカラフルな色で溢れたのが「ポール・スミス」だ。それは、ほかのブランドでも見られた古着を合わせたようなレトロなムードを強めたが、コレクションは脱構築のアプローチではなく、あくまで英国紳士たるもののテーラードが軸。ビンテージライクな色使いとディテール、シルエットは、洒落と遊び心を感じさせるアイデアとして取り入れられた。
ウエアは肩回りにゆとりのあるボックスシルエット、主張の強い色合わせのスタイルミックスなど、ポール・スミスならではの難易度が高いバランス感覚が光る。ジャケットは各ルックでディテールが異なり、バリエーション豊かだ。パンツもハイウエストのワイドフレアからスリム、キャロットまで幅広い。ガンクラブチェックのダブルジャケットには2本線が入ったタートルネックニット、テーラードコートには薄手のボンバース、ハードウォッシュデニムをコーディネート。スラックスやカーディガンにはペイズリー模様、シャツにはキュートな恐竜モチーフがのせられた。レトロなジップアップニットやバンドカラーシャツをセットアップに合わせるテクニックは、すぐにマネできそうな旬のスタイルだ。
フィナーレは、デヴィッド・ボウイの「Oh!You Pretty Things」。ボウイと長年の友人だったスミスは、ロンドンメンズで発表したプレゼンテーションでは、発表日の前日にこの世を去った彼とのコラボTシャツを掲げ追悼。パリメンズでも、改めて彼に敬意を表した。