「『プーマ(PUMA)』、行く?」
そんな会話をニューヨーク・ファッション・ウイークの期間中なんども聞くほど話題だったファッションショーが9月13日、由緒正しいビルや建築物の多いローワーマンハッタンのチップリアーニを会場に開かれた。
ファッション業界人だけでなく、著名なアスリートなどスポーツ関係者も参加することから、ショーの開始予定時刻の21時に近づくころには、会場周辺は異常なまでの熱気に包まれた。赤いライトの光が差し込むランウエイは、荒野のよう。ダンスなどのパフォーマンスののち、体のムーブメントに自由を与える、モノグラムデザインのぴったりとしたワンピースに身を包んだモデルが登場。その後もスポーティーでありながら、シティのストリートを闊歩できるルックが続く。トラックスーツのセットアップは、黒地に白のラインや赤地に白のラインなど。おなじみのジャージーの上下……と思ったらレザー製で、“ワンマイル・ルック”にはオシャレ過ぎるくらいだ。そして世界最速の男のウサイン・ボルト(Usain St. Leo Bolt)がゆっくりとランウエイを歩いて魅せたのは、アスレチックなタキシードだった。
「これは、アスレジャーのセカンドウェーブなのだろうか?」。そう思ったが、もっと新しいものだろう。周知のとおり、アスレジャーはアスレチックウエアの利便性や機能性が理にかなっているから浸透、または流行した。でもウサイン・ボルトのタキシードは、そこまで機能的じゃない。今、ファッション好きが楽しみたいのは、機能的でラクな服じゃない。カッコいい服だ。目の前の「プーマ」は、楽(ラク)じゃなく、楽しい服。後者を身に纏っているときの気分は、前者のそれとはまったく別だ。
一流アスリートに本当の機能性を提供する「プーマ」が、クールなファッションを提示してきた。