ファッション

エリザベス女王の服喪期間のロンドン・コレクションでは追悼の黒いルックも

 9月16~20日(現地時間、以下同)まで、2023年春夏シーズンのロンドン・ファッション・ウィーク(London Fashion Week. 以下、LFW)が開かれている。8日に逝去したエリザベス女王の訃報により、久しぶりに公式スケジュールに復活した「バーバリー(BURBERRY)」と、初のロンドンでのショーを予定していた「ラフ・シモンズ(RAF SIMONS)」は、延期または中止を発表。また、国葬が執り行われた19日のイベントは全てキャンセルされ、服喪期間に該当する会期中は王室の礼儀作法であるロイヤル・プロトコルを遵守してパーティーを行わないなど、開催直前に大幅なスケジュール変更が入った。

 LFWを主催する英国ファッション協議会(British Fashion Council)のキャロライン・ラッシュ(Caroline Rush)CEOは、LFWの開催自体を中止することも検討したという。デザイナーや業界人との緊急電話会議ではジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が、「中止すると経済的な大打撃を受ける若手デザイナーのため、LFWを継続すべきだ」と意見を述べ、コミュニティを結集する上で決定的な主導権を握ったという。最終的には、上記の2ブランドを含む4ブランドが服喪期間のショー中止に至り、74ブランドがリアルでのコレクション発表を行った。「ポール&ジョー(PAUL&JOE)」はショー開始前にゲストと共に黙祷を行い、「JW アンダーソン(JW ANDERSON)」はラストルックを弔意の刺しゅうを施した黒のルックに変更。「アーデム(ERDEM)」もファーストルックを黒へと変え、コレクションノートの冒頭に「悲しみは愛に伴う代償」というエリザベス女王に捧げる言葉を書き添えた。

 ロンドンの街中を歩いていると、飲食店とホテルの外観やショップのショーウィンドー、教会の中など至る所にエリザベス女王の写真が飾られていた。筆者がロンドンに到着した16日、棺は既にウェストミンスター宮殿(Palace of Westminster)に安置されていたが、バッキンガム宮殿(Buckingham Palace)周辺も常に混雑しており、宮殿が位置するグリーンパーク(Green Park)とセント・ジェームズ・パーク(Saint Jame’s Park)には入場制限がかけられていた。19日の国葬当日はグリーンパークでスクリーニングが行われ、ウエストミンスター周辺の主要道路が閉鎖されて日中は歩行者天国となった。

 国全体で喪に服していたが、現地の報道によると一部では弔意強制に対して反発が起きていたようだ。服喪期間にゲームを行ったアマチュアのフットボールチームに対して厳しすぎる処分が下されたことや、サイクリング協会が加盟クラブに行事を中止するよう要求したことを批判する動きの他、王政に反対してデモを行った人々の中には逮捕者も出たという。これら混乱も含め、国全体で追悼する荘厳さは、イギリスの象徴として愛されてきたエリザベス女王の凄みを物語っていた。

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