コーセーコスメポートのスキンケアブランド「クリアターン」でいまZ世代から支持されているのが、イラストレーターとコラボしたシートマスク“ごめんね素肌”“うるうるBOMB”“毛穴小町”だ。「クリアターン」の好調をけん引する存在として成長している。そしてその人気を支える要因の一つがシートマスクの使用感だ。旭化成の高機能素材「ベンリーゼ」を採用しており、密着感がありながらも優しい使い心地でリピート購入につながっている。今回は“イラストレーターコラボシリーズ”のシートマスクを生み出したコーセーの担当者に開発秘話や素材へのこだわりについて話を聞いた。
目指したのは共感できる世界観
WWDBEAUTY(以下、WWD):“ごめんね素肌”“うるうるBOMB”“毛穴小町”のイラストレーターコラボシリーズを開発した経緯は?
長坂有花/コーセーコスメポート マーケティング本部 商品開発部 商品企画2課(以下、長坂):これまでの「クリアターン」シートマスクは「ビタミンC」「ヒアルロン酸」など成分訴求や、「美白」「保湿」などの機能訴求がほとんど。しかし10~20代のZ世代は使用シーンや気分でシートマスクを買う人が多いことから、イラストレーターコラボシリーズは「共感できるようなネー ミングやイラストの世界観」にこだわって開発。熟睡したときが肌は1番良い状態になるということから、「ベター ザン スリーピング 8分の集中ケアで8時間熟睡したような肌に」をシリーズコンセプトに設定した。個包装にすると1枚あたりの価格が高くなり10代にはハードルが高いため、お試しサイズとしてもちょうどいいジップタイプの7枚入りで展開している。
内田あけみ/旭化成 ライフイノベーション事業本部 ベンベルグ事業部 ベンリーゼ営業部 第一担当 課長代理(以下、内田):コーセーコスメポートで当社の ベンリーゼを使い始めたのは、2008年の 「クリアターン」のシートマスク“ホワイトマスク”から。同じベンリーゼ素材を使用してはいるが、イラストレーターコラボシリーズは表面に凹凸をつけて保液性が高まっている。
長坂:シートマスクは美容液をたっぷり含んでいることが心地良い使用感につながるため、凹凸加工をすることで表面積が広がって多く水分を抱え込む。さらに、使用後にシートマスクの凹凸面で顔を拭き取る角質ケアも推奨しているが、その新しさも2度おいしいと好評だ。
素材と相性の良い美容液を開発
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WWD:処方についてこだわった点は?
塚本大介/コーセー研究所 スキンケア製品研究室 スキンケア製品グループ(以下、塚本):開発するにあたり、こだわりポイントは大きく3つある。1点目は、“ごめんね素肌”に関してはとことん「優しさ」にこだわったこと。ベンリーゼの肌あたりが優しいことに加え、美容液でも肌への優しさを実現するために、肌への刺激になりうる成分の配合を極力控え、各種刺激性テストを行った美容液を使用している。2点目は、高密着のために美容液にほどよいとろみをつけていること。3点目は、そのとろみとベンリーゼとの相性だ。今回使用している素材は厚みがあるのが特徴だが、厚みがあると非常に液含みが良く長時間肌に付けていても使い心地が良い。しかし逆に、密着感があるとろみのついた液体をジッパー袋の中で7枚重なっているシートマスクにしっかり奥まで染み込ませるのは難しいということでもある。7枚重ねのシートマスクに美容液がしっかり染み込み、かつ使用時に密着感があり多くの美容液を含んでいても液が垂れてこないという、ベンリーゼとの相性がいい美容液を開発するのに時間を要した。
凹凸加工で保液性を高める
WWD:“ごめんね素肌”は敏感肌や肌荒れケア、“うるうるBOMB”は乾燥肌ケア、“毛穴小町”は毛穴悩みに特化したマスクだ。
塚本:“毛穴小町”は他2製品と比べ、シカ成分を配合した春夏にも使いやすいみずみずしい仕上がり。毛穴悩みは水分と油分のバランスが大事なため、保湿重視で毛穴のふっくら感がでるよう油分を含んだ美容液にしている。油分を配合するにあたって、必要以上に入れるとドレッシングのように油が分離することも。みずみずしい仕上がりへの調整はハードルが高かった。また、“うるうるBOMB” はこれまでにない「長時間潤いを持続する」ということにも挑戦した。
長坂:コンセプトや世界観も今までにない遊び心があり、受け入れられるか不安もあった。パッケージにSNSで人気のイラストレーターであるNAPPYさん、ミヤマアユミさん、yasunaさんを起用した点や、触れただけでたっぷり美容液が入っているのがわかるジップタイプ、イラストの女の子が「メイク落とし忘れた」「夜ふかししちゃった」などと呟いている点もお客さまから「あるある」と共感を得ている。また、素材へのこだわりが強く、「ベンリーゼを使っているから購入した」という人も。
内田:そういった感度の高い消費者は増えているが、不織布の種類を知っている人はまだまだ少ない。そのため、イラストレーターシリーズはパッケージにベンリーゼ素材を使用していることを打ち出している。今後は製品はもちろん素材についても知ってもらう活動もやっていきたい。
優れた機能を持つベンリーゼ
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ベンリーゼは、綿実油を作る際の副産物・綿花の種子を包む産毛の“コットンリンター”を原料とした、連続長繊維再生セルロース不織布だ。自然の働きによって生分解し土壌に害を及ぼすことなく土に還って堆肥化するなど、天然素材の持つ特性と化学的機能を持ち合わせたサステナブルで高品質な素材といえる。旭化成は1974年からベンリーゼの製造を行っており、長年の経験や技術開発により100%天然由来の原料を使って優れた機能と確かな品質の素材を日々生み出している。
旭化成 ベンリーゼ営業部
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