ファッション
連載 見果てぬ街づくり

アルマーニ氏は言った「銀座店のキーはいつもらえるんだい?」:見果てぬ街づくりVol.7

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 1990年代後半、安田氏は丸の内にアルマーニを誘致しようと動く。だが、日本法人社長のヤコブ・マイヤー氏からショッキングな言葉を聞くことになる。(この記事はWWDジャパン2022年9月19日号からの抜粋です)

 「ミスターヤスダ、ギンザドーリ、ミユキドーリ、ナミキドーリ、グッドビジネス。バット、マルノウチナカドーリ、ノービジネス!」

 やさしい笑みを浮かべた顔でマイヤーさんは言った。有楽町ビルの1、2階(現「エストネーション」)を紹介したものの、断られてしまう。追い詰められると燃える私は、星飛雄馬の目になり、ますます丸の内の商業開発にのめり込んだ。

 その後、有楽町寄りのエリアで「ヴィアサザビー」「バカラ」「フォリフォリ」「コヴァ トーキョー」といったブランドや飲食店の出店が立て続けに進む。そろそろマイヤーさんの考えも変わるのではないか。

 晴海通り沿いの有楽町電気ビルの1階に空きが出たので再び連絡した。物件を見た途端、彼の顔つきが変わったのを私は見逃さなかった。近くの「ヴィアサザビー」2階のカフェに誘った。

伊藤忠・岡藤さんに尻を叩かれ、ミラノへ

 「あの物件いいね。いくら?」「いきなり家賃の話ですか(笑)。月坪○万円です」「高くないか?」「高くありません。銀座の半分以下です」「どうやったら出店できるの?」「今ここで私と握手したら決まりです」

 1、2、3秒。マイヤーさんはそっと右手を差し伸べた。「あのとき有楽町ビルを借りてくれればもっと良かったのに」というと、マイヤーさんは「人は間違いを犯すものだよ」といたずらっぽく笑った。かくして「アルマーニ コレツィオーニ」の出店が決まる。後に「エンポリオ アルマーニ」も仲通りに出店した。

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