毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年9月19日号からの抜粋です)
益成:コロナ禍が落ち着いた影響かもしれませんが、各メゾンがハイジュエリーのイベントやアンバサダー起用に積極的です。やはり華やかな場でリアルな商品に触れるとテンションも上がって購買欲も高まりますよね。かつては一部のVIP顧客のためだけにクローズドで行われていたイベントがオープンになり、アンバサダーやフレンドに起用した女優のハイジュエリー着用画像が出回り、特集としてまとめたいと考えました。
村上:拡散力の高いジュエリーイベントが増えていますね。ウブロ(HUBLOT)のリカルド・グアタルーペ(RICARDO GUADALUPE)CEOが取材で語っていましたが、かつてのお金持ちは20〜30年かけて少しずつ豊かになったのに対し、新しい富裕層には仮想通貨などにより2〜3年で大金を手にした人も多く、旧来の富裕層ネットワークを築いていない人も多いそうです。だから、彼らに対して広告やデジタル施策、オープンなイベントが必要なんでしょうね。すごく納得しました。
益成:そういった背景もあり、回収の見込みあっての投資だと感じます。ハイジュエリーってデザイン性や石の調達力、クラフツマンシップが表現できるアイテムで、メゾンの魅力を富裕層だけでなく幅広い層にも訴えられます。ハイジュエリーが一般公開される機会もすごく増えました。メゾンの魅力をアピールできる最強の切り札になりうると思います。
村上:若い顧客が増えたことで売れるものも変わっていますか?
益成:はい。各メゾン、いろいろなものをミックスして、冒険心満載のコレクションを発表しています。かつてはダイヤモンドが“宝石の王様”でしたが、ルビーやパライバトルマリンなど、より希少性の高い宝石の使用が目立ちますし、貴石の方が高くて半貴石の方が安価というような宝石に対する概念も変わって、商品にも変化の兆しが見られます。デザインもどんどん複雑になって、その精巧さにうならされます。
村上:若い富裕層は自らがインフルエンサーになってSNS投稿するから、ハイジュエリーをますます見かけるようになっています。
益成:特集で新作を紹介しましたが、商品自体もすごく面白くなってきています。