カニエ・ウェスト(Kanye West)改めイェ(Ye)は、「ギャップ(GAP)」が同ブランドの店舗で、自身が手掛ける「イージー(YEEZY)」と「ギャップ(GAP)」のコラボライン“イージー・ギャップ(YEEZY GAP)”の製品を販売することも、“イージー・ギャップ”専門の店舗をオープンすることもしなかったことが契約不履行に当たるとして、「ギャップ」との契約を解除した。
イェの代理人は米「WWD」に対して「『ギャップ』の実質的な契約違反により、イェにはこの契約を終わらせる以外の選択肢が与えられなかった。イェはこの問題について解決に向けて熱心に取り組んだが、どうにもならなかった。イェは『イージー』の店舗を開くことで失われた時間を取り戻すべく、前を向いている」とコメントした。
イェが「ギャップ」と契約を結んだのは業績が悪化していた「ギャップ」の救済のためだったという見方もあった。この契約が発表された2020年当初、ギャップ社の株価は19%上昇して12.07ドル(約1726円)となり、イェは同社の全株式の約2.3%に相当する最大850万株分の新株予約権を受け取った。
多くのアナリストはこの契約について同社の再建のための努力と評価し、おおむね好意的に受け止めていた。しかし、契約締結後も「ギャップ」で“イージー・ギャップ”製品を見かけることはほぼなかったという。この契約解除が発表された際には、ギャップ社の株価は取引開始時に1.3%上昇。しかし、その日の終わりには3.6%下がり、1株9ドル(約1287円)で取り引きを終えた。
イェと当初契約を締結したギャップ社の最高経営責任者だったソニア・シンガル(Sonia Syngal)は7月に突然退社し、同社は依然として後任を探している。