ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、中国のロックダウンから考えるインバウンドの話。(この記事はWWDジャパン2022年9月19日号からの抜粋です)
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ゼロコロナ政策を推し進めている中国では8月以降、新型コロナウイルス感染が再び拡大し、ロックダウン(都市封鎖)に踏み切る都市が増えている。8月上旬から海南島など観光地を中心に感染が広まり、各地の大都市に飛び火。深センや大連などは中心部が封鎖され、成都は9月1日から約2100万人の住民を対象に外出を原則禁止にする措置を取った。事実上のロックダウンとなった成都は、3月末から約2カ月続いた上海(人口約2500万人)のロックダウン以来、最大規模の都市封鎖となる。
対象地域ではないが、深センに比較的近い(対岸、車で2時間ほどの距離)広東省・中山市にあるロート製薬とマンダムのそれぞれの工場は、通常通り稼働しているという(9月2日時点)。深センにおいては化粧品容器のサプライヤーが集積しているため、直接関係がないとしても、今後は物流の混乱も合わせて間接的に影響を受けないか注視する必要がありそうだ。一方で、生産拠点としてのこれらの問題だけではなく、最も深刻なのは消費意欲の減退だろう。資生堂によると、上海のロックダウンが明けた7月以降も、ゼロコロナ政策による不安感などから中国の消費者心理の悪化がうかがえるとしている。しかし、長引くコロナ禍によるストレスの増加は、癒やしや気分転換になる香りに注目が集まり、中国を始め、世界の香水市場の成長率を高めていると考えられる。日本で“香りブーム”に乗れる企業はあるだろうか。今後、日本企業による香り市場の動向にも注目したい。
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