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10代に美の多様性をレクチャー 資生堂SABFAとインスタグラムがサポートする理由

 渋谷パルコを会場に、10代の若者がクリエイションの原点に出合える学びを提供するGAKU(ディレクターは、「リトゥンアフターワーズ(WRITTENAFTERWARDS)の山縣良和)は10月、美が持つ多様性を学ぶ「我美と作美(わびとさび)」を開講する。好評だった前回同様、資生堂のヘアメイクスクールSABFAの計良宏文校長がメーン講師を務め、インスタグラムも協力する。

 講師陣は、山縣デザイナーのほか、アーティストの下田昌克、写真家のKarinNoguchiら。美しさの多様性を学んだ後、メイクの技術を身につけ、撮影、それをSNSで発信するまでの一連を学ぶ全11回の講座だ。計良校長、フェイスブック ジャパン インスタグラム広報の市村怜子担当、そしてGAKUの武田悠太ファウンダーに、講座と、若い世代に学んでほしいことなどを聞いた。

WWDJAPAN(以下、WWD):「我美と作美」が始まるまでの経緯は?

武田悠太GAKUファウンダー(以下、武田):GAKUは、10代が中心のクリエイションの学び舎。建築から音楽、ファッション、演劇、伝統工芸まで、幅広い領域のクリエイティブを一流、最前線で活躍しているクリエイターが直接教えている。いずれも、少数でリアル。講師陣のオーラや考え方、発する言葉などを直接感じてもらいたい。受講生は小学生じゃないから、自分たちが作るモノが、どんな評価やインパクトを生み出すのか?までを経験する場を設けている。ファッションの中でメイクがやりたいと、計良さんの力を借りることになった。

計良宏文SABFA校長(以下、計良):SAFBAのようなプロの学校ではないので、もう少しユルく、自由度の高い授業を考えた。例えば資生堂も加担しているのかもしれないが、唇には「上が1に対して、下は1.3が理想的」という黄金律が存在するが、そういうルールにとらわれない多様な美を考えたい。SAFBAの校長をしていて、プロになるには、プロに必要な感性の教育が重要と考えるようになった。将来に明るい希望を持っている人たちに対して、メイクに興味を持ってもらい、美について学ぶ機会を提供したい。自己表現の手法としてモノづくりする楽しさを伝えながら、「プロになるために、何をしたらいいのかわからない」子どもたちに基礎までを伝えられたらと思う。

WWDJAPAN:インスタグラムも「我美と作美」に協力するのは、なぜ?

武田:ちょうど前回は、インスタグラムをはじめとするSNSがアメリカのティーンエイジャーに良くない影響を与えているのでは?という懸念が生まれた頃だった。

市村怜子フェイスブック ジャパン インスタグラム広報担当(以下、市村):インスタグラムは、若い世代にたくさん使っていただくため、安全に使ってもらうため、例えばいじめに対するコメントにフィルター機能をかけたり、保護者に向けての啓発活動に取り組んだりしている。それでも、若い世代はSNSからの情報で価値観が作られたり、影響を強く受けたりする。実際、SNSで画一的な美しさにとらわれる懸念があることは認識しており、「何かできないだろうか?」と考えていた。

武田:本来インスタグラムは、周りにいろんな友達ができるポジティブなコミュニケーションのプラットフォーム。ただポジティブな側面が当たり前になりすぎて、当時はネガティブな一面が注目され始めたときだったと思う。

市村:ネガティブな一面は、あらゆるツールに存在する。ただインスタグラムがあったからこそ、新しいものに出合えたり、周囲に認めてもらいながら全然違う国の人と繋がれたりする。多様性や多様な美しさに、もっといい影響を与え、貢献したい。おかげさまで、インスタグラムはクリエイティブな人たちが使っている。発信することでビジネスにつながるというクリエイター支援の側面は、ここ数年で顕在化し、会社としてもフォーカスしている。GAKUのようにかなり特殊でクリエイティブな学校を見つけて、参加するほどの情熱がある人は、今後クリエイターになるかもしれない人。今後の活動に役立ててもらえるのでは?と考えた。

WWD:実際、どんな授業を行ない、前回はどんな子どもたちが参加した?

武田:前回はメイクが大好きですでにプロ級のモデルから、未経験の男の子まで、本当にいろんなタイプが集まった。日本の教育は、同じ部類、同じ年齢、同程度の技量の人が集まりがちだが、GAKUにはバラバラな子が集まる。現実の世の中は、そんなもの。本当の勝負になれば、ビューティの世界でもメイクアップアーティストだけと争うワケじゃない。さまざまな人と学ぶことは、今後の自身につながると考えている。

計良:前回、初日は「美」について語り合ったが、そこからすでに多様で面白かった。例えば14歳の子は「カルティエ(CARTIER)」のイベントでもらったカードのコピーの美しさに惹かれ、一方福祉施設で働く19歳は「人と人の心が通じ合った時の感覚、喜び、笑顔、時間に美しさを感じる」という。

武田:彼は福祉施設に住み込み、障がいがある人と一緒に生活している。なかなかコミュニケーションできなかった人とできるようになった時が「美しい」と思うのは、外見や内面、物事すべてに美しさを見出しているということ。衝撃とともに、嬉しさを覚えた。

計良:メイクは外見だけじゃなく、「らしさ」を表現することと常々伝えているが、外見を変えることで内面、内面が変わることで相手の印象が変わり、最終的には美意識までは変容する。前回は実技の授業が少なかったので、今回はもう少し幅広いテクニックを見せ、化粧品に触れられる時間を設けたい。

市村:インスタグラムが担うのは、ポートフォリオ的な作品集を作ること。完成度が高い写真を投稿するのは当たり前だが、それだけはSNSでもファンは生まれず、応援には繋がらない。駆け出しの時は、自分の発信が正しいか不安に思うこともあるだろう。それでも一生懸命投稿し続けると、ファンが生まれ、応援され、DMなどのコミュニケーションで支えてもらっていることを実感できるから、前向きになれる。インスタグラムは、そんな拠り所のような存在になれる。

計良:ありふれたものを発信するのではなく、新しい美を投げかけるようなチャレンジをしてほしい。自分が思う「美」については授業の中でもルーツを考え、突き詰めてもらう。その上で生み出した新しい「美」は、これまでの価値観を覆すものであるべき。そうじゃないと、新しい美は生まれない。そんな勇気まで、話し合いながら育んでいけたらと思う。

武田:前回参加した学生の中には、最終回でいきなり金髪になって現れた受講生がいた。本人の中で、既成概念が覆ったんだと思う。

計良:当初は、「カラーコンタクトに挑戦したいのにできない」くらい、周りから見れば些細だけれど、本人に取っては大きな問題で悩んでいたが、今インスタグラムを見るととっても楽しそう(笑)。

武田:計良さんが今なお覚えているなんて、本当にスゴいこと(笑)。今回も少人数で、一流の人と直接触れ合える機会を創出したい。

「我美と作美」開催概要
日時:2022年10月上旬~2023年3月上旬/全11回/原則水曜 17:00~19:00
会場:GAKU(渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 9階)/SABFA(渋谷区神宮1-14-30 WITH HARAJUKU 2F)/Meta Tokyo office(港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー)
対象:10代 、10人程度(先着順)
受講料:3万8500円

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