毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年9月26日号からの抜粋です)
美濃島:新ブランドが相次ぎ、売り場も活況で、「ゴルフが来ている」とあちこちで耳にするようになりました。特集ではその実態に迫りたいと思いました。
林:ゴルフウエア市場は900億円前後と言われ、スポーツウエアの中でも規模が大きく、スポーツメーカーとアパレルメーカーが共存する珍しい市場なんだよね。昔のお父さんはオフのカジュアルウエアとしてゴルフウエアを普通に着ていたから、メンズ売り場でも大きな場所を占めていた。でも新たに始める人がこの20年少なくて、中心が60代、50代、70代と高齢化していた。そこにコロナ禍で海外に出掛けられなくなった30代、40代が入ってきて、スタイルが変わってきている。
美濃島:そうですね。かつては接待のために上司に言われてやるものというイメージもありましたが、今は友人同士でカジュアルにラウンドを回るようになっていて。しかも、普通に「着たい」と思えるウエアがたくさんありました。装う機会が減った中で、ファッションにこだわりたいというのは分かります。
林:10年前ならクラシックなゴルフカルチャーとストリートやサーフカルチャーが結びつくなんて考えられなかったが、裏原系のブランドやストリートカルチャーの人がゴルフをやるし、ウエアを作っていて、すごく面白いと思った。
美濃島:でも、すでにゴルフを始める人の流入ピークは過ぎているようです。外出制限がなくなったことも相まって、別の娯楽へシフトする人もいるのでしょう。
林:僕が把握している限りでも昨年から今年にかけて新ブランドが50ある。200あるという人もいるくらいだから、ゴルフウエアだけ異次元で、はっきりいえばバブルだよね。今後、間違いなく淘汰されるだろう。
美濃島:ブームに食いついただけのブランドは続かないでしょうね。ゴルフの面白さを伝える、カルチャーを作っていく、そういう打ち出しやアクションができないと生き残れないと思いました。TSI上席執行役員の仙座学さんが言っていましたが、選択肢があるのは良いことだと。この間口が広がりつつある状態を継続できるか、始めた人たちに飽きさせない努力が必要ですね。