ファッション

貴族的衣装さえ活動的に変えた「ディオール」と、ストイックな世界観の「サンローラン」 編集長のパリコレ真剣レビューVol.1

有料会員限定記事

 過去と対話し、現在を定義することで、未来に繋げるーー。

 これは、「ディオール(DIOR)」というメゾンのトップに立つデザイナーが果たすべき責務だ。そしてウィメンズのアーティスティック・ディレクター、マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)は2023年春夏シーズン、この仕事を完璧にやってのけた。

 コレクションの出発点は、メゾンのアーカイブから見つけた一枚のスカーフだったという。1950年代の初頭に作られたスカーフには、メゾンの本拠地アヴェニュー・モンテーニュを中心にパリの地図が描かれていた。このイラストはトレンチコートなどに描かれ、ディオールがモンテーニュ通りからパリに、そして世界に広がっていった歴史を表現する。貴族的な衣装にもインスピレーションを得た今シーズンは22年の春夏からは一転、スカートの丈は長く、優雅に広がるからこそ、モンテーニュ通りから世界へ羽ばたいた50年代の「ディオール」の歴史が重なる。

 ただ「ディオール」のトップは、歴史を焼き直すだけの人物では務まらない。そこに自身の感性や想いをミックスし、「ディオール」でありながら、創業者ムッシュー・ディオールの「ディオール」とは異なる姿に昇華することが求められる。

この続きを読むには…
残り1950⽂字, 画像25枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

DIOR x コレクションの記事

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。