エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES 以下、ELC)はこのほど、フランス発ファッションブランド「バルマン(BALMAIN)」とグローバルビューティライセンスを締結した。ライセンスの内容には化粧品の共同開発、製造、販売が含まれ、「バルマン ビューティ」のデビュー製品は2024年秋に発売する予定。
「バルマン」のクリエイティブ・ディレクターを務めるオリヴィエ・ルスタン(Olivier Rousteing)は現在、パリの調香師学校でトレーニングを受けている。グラマラスな世界観や色鮮やかなカラーだけでなく、肌を守り、栄養を与えるような化粧品の開発を目指すという。自身もメイクアップを楽しむオリヴィエは、「メイクアップ好きの人は多いけれど、肌をケアすることも大事。メイクアップは美しさのツールとしてだけでなく、肌を守る役割を担うべき」と話す。オリヴィエはファッションラインで度々創業者のピエール・バルマン(Pierre Balmain)の過去のデザインを引用してきたが、化粧品でも創業者が残したヘリテージを継承すると意気込む。
さらにオリヴィエは、祖母が1979年に発売された香水“イヴォワール ドゥ バルマン”を愛用していたことも明かした。「バルマン」はそのほかにも、1947年に“ヴァン ヴェール”、64年に“ムシュー バルマン”、2008年に“アンブル グリ”、10年に“カルボンヌ”など、数々のフレグランスを発表してきた。自身もフレグランスが大好きだというオリヴィエは、「これまで創業者のピエールが作ってきたフレグランスの幅の広さは素晴らしい。それぞれに個性がありながら、メゾンを物語る香りになっている。私もこれまでのアーカイブとは全く異なるような、今の『バルマン』を体現する強くユニークな香りを作ることが楽しみだ。オートクチュールドレスのような香りを作りたい」と語った。サステナビリティを意識し、製品には可能な限り自然由来の成分を用いる予定だ。
バルマンは1945年、ELCは46年創業で、ともに60年近くの歴史を持つ。ELCのギヨーム・ジェゼル(Guillaume Jesel)=トム フォード ビューティ(TOM FORD BEAUTY)・バルマン ビューティ(BALMAIN BEAUTY)・ラグジュアリービジネスデベロップメント プレジデントは、今回のパートナーシップの背景について「ヘリテージを守りながら、未来に目を向ける両社の姿勢は同じ。ラグジュアリーに対する考え方やブランドの育て方にも共通点が多くある」と説明した。「歴史あるブランドを現代的にアップデートしたオリヴィエのビジョンをビューティでも実現したい」。
ELCにとって「バルマン ビューティ」は、すでに持っている「トム フォード ビューティ」に次ぐ、ラグジュアリーファッションブランドのライセンスになる。ジェゼル=プレジデントは、「ラグジュアリーはビューティ市場でも成長が著しく、グローバルでさらに拡大するポテンシャルを持っている。われわれにとってもラグジュアリーは今後さらに強化していくカテゴリーだ」と述べた。
なお、バルマンのフレグランスビジネスは、17年に同ブランドとフレグランスメーカーのインターパルファム(INTERPARFUMS)のライセンスが終了してから休眠中だった。また、ヘアケアライン「バルマン ヘア クチュール(BALMAIN HAIR COUTURE)」は別の会社が運営している。