ほのかに透けるシアー素材の服を、秋以降も取り入れる装いが盛り上がってきました。“透かし見え”の持ち味を生かせば、装いに奥行きや軽やかさを加える効果が期待できます。透け感は春夏のイメージがありましたが、秋冬はレイヤードに生かすのが得策。立体感が増し、ノーブルに見せたり、センシュアルなムードに演出できたりする、役立つ新スタイリングです。
例えば、「ハイク(HYKE)」は黒パンツの上にシアースカートを重ねて、カジュアルな装いに、レディーなムードを添えました。シアースカートがパンツ周りで遊び、自然な細見え効果も生まれています。今回は、シアー素材を使った新感覚のレイヤードスタイルを、パリや東京コレクションの会場でキャッチしたおしゃれスナップからご紹介します。
マニッシュなスタイルにファンタジーをプラス
人気上昇中のシアーコーディネートは、パンツを透かして見せるスタイル。メンズライクなパンツにフェミニンな要素をかぶせれば、ジェンダーミックスの装いに仕上がります。
1枚目の写真は、スラックスの上から巻きスカート風のシアーボトムスを重ねました。マニッシュなパンツに、ミステリアスなシアーアイテムが別のムードをプラスし、見た目も雰囲気も重層的なレイヤードが生まれました。
シアーなアイテムを重ねられるのは、ボトムスだけではありません。お仕事ルックの定番、白シャツに重ねれば、一気にドレッシーな風情に様変わり。手軽な着回し技としても効果大です。
2枚目の写真では、プレーンな仕立ての白シャツに、一回り大きめサイズのチュールシャツをまとわせました。最近は初めからシアーな服がレイヤードされているタイプのアイテムも登場しています。薄い羽衣状のシアーウエアがファンタジーな気分を添え、見慣れた白シャツが幻想的な雰囲気をまといました。
カジュアルなジーンズがセンシュアルに
シアーな服はアンニュイでセンシュアルな印象を添えてくれるので、手持ちのアイテムに組み合わせると、別の表情を引き出せます。例えば、ジーンズ。デニム特有のリラックスした普段着テイストに、たおやかさや格上感を盛り込めます。
1枚目のモデルのモトーラ世理奈さんは、ワイドジーンズの上からボリュームたっぷりのシアーブラウスを重ねました。フェイスモチーフのTシャツはインパクト大ですが、“透かし見え”のおかげで、ちょうどいい加減にトーンダウン。シアーブラウスが、フリルやドレープなどディテールが凝っている分、デニムルックに特別感が加わっています。
部分的に透けるシアーな服は、通年で着られるメリットがあります。レイヤードに生かしやすいので、秋冬に出番が絶えません。
ジーンズのきれいめな着こなしでお手本といえるのが、2枚目の写真。メンズライクのゆったりした幅のジーンズに、両袖がシアー仕立てのジャケットをオン。黒ジャケットは重たく見えがちですが、腕の素肌が透けて見えるおかげで、ライトでほんのり官能的な印象に。上下で相反するテイストを帯びていて、ミックスコーディネートの奥深さも醸し出しています。
“逆レイヤード”で透け加減をコントロール
これまでのシアーな服は、一番外側に着て、下に着込んだウエアを透かして見せるという使い方が一般的でした。ところが、近ごろはレイヤードの“上下関係”に異変が起きつつあります。シアーな服の上から、透けないウエアを重ねる、という逆転の発想です。
1枚目は、ホワイトデニムのオーバーオールの内側に、シアーシャツを着込んだ“逆レイヤード”の着こなし。素肌とブラトップがシースルーになっていて、官能的なムードも漂います。男の子っぽい印象のオーバーオールが、シアーな服との意外なコンビネーションで、ヘルシー&セクシーに変化しました。
シアーな服の透け加減を、上から重ねる服で調節するスタイリングも登場。露出を気にせずに済むので、試してみたい着こなしです。
2枚目の写真でも、“逆レイヤード”が生きています。両袖がふんわりしたシアーシャツの上から、背中の開いたフェミニンなビスチェをレイヤード。適度な肌見せ加減が、大人っぽさも生んでいます。ビスチェだけでは露出が大胆すぎても、エレガンスを帯びたシャツとのマリアージュが効いて、レディーライクに仕上がるのが魅力です。
シアーな服の出番は、もはやオールシーズンの時代に突入。重たさや、かさばりが気になりがちな秋冬こそ、軽やかに映るシアーな服の出番です。“逆レイヤード”もお目見えし、多彩な重ね着が表現力を一段と高めてくれます。手持ちワードローブから意外なニュームードを引き出せるので、夏に着たシアーな服でさらなる延長戦を試してみましょう。