毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2022年10月3日号からの抜粋です)
向:この3カ月くらいで、サステナビリティに関する話題が商品の素材や調達から店頭に移ってきていると感じていて。消費者に伝えていくフェーズになってきているようです。店頭でのサステナビリティといえば、分かりやすいのが回収ボックス。でも、その回収ボックスが「免罪符になっていませんか?」という木村さんの問いが、今回の特集のテーマになりましたね。
木村:ゴミをどう循環させるか。回収ボックスのその先について取材しましたが、私にとっては初めての静脈産業取材で、本当にいろいろと勉強になり、考えさせられました。
向:私も本当に知らないことばかりだと思いました。廃品回収をリサイクルするには、分別が大事。でもそれはとても地道な作業で、時間と労力とお金を要します。企業が負担するには荷が重過ぎて、集めておしまいになっていることもあるようです。家電のように、捨てる側がある程度負担するといった仕組み作りが大事で、ゴミを資源へ循環させるには、洋服の流れと共にお金とゴミの流れの大きな地図を描く存在が必要だと実感しました。
木村:洋服はパーツが多く、素材も混ざっているものが多いので、分別するのはすごく大変ですが、それができるようにならないと、サーキュラーエコノミーは実現しないということですね。
向:そう。まだどこもその円を描けていないから、日本は先陣を切って描くべき。
木村:米国版の翻訳をしていると、繊維リサイクルをするスタートアップが資金調達したニュースが多くて、欧米では成長分野になっているようです。日本でも伊藤忠商事が提携したエコミットや、帝人フロンティアなど、リサイクル事業のニュースが増えてきていますね。
向:デジタルやアイデアも入ってきている部分でもあり、ブルーオーシャンビジネスとして成長している場所でもあります。でも一次流通と二次流通の間には深い断絶があることもよく分かりました。素材が生まれる畑や牧場も知るべきですが、廃棄現場こそ最初に見るべきかも。
木村:複数回にわたって追いかけるべきテーマですね。これができるのは「WWDJAPAN」ならではだと思います。