昨年秋にスタートしたビギの「デパリエ(DEPAREILLE)」が、高感度な大人の女性(40代〜)や女性ファッション誌編集者など、コアな服好きの間で認知度を高めている。10月5〜11日には伊勢丹新宿本店本館3階でポップアップストアを開催。ブランドの強みであるテーラード技術とデザインを凝縮した限定商品を販売し、存在感をアピールする。
「デパリエ」は“1960年代のパリの女性”をテーマにデザインした、コートやジャケットなどのテーラードアイテムが主力。そのほかの商品も、シャツの襟にはしっかりとした芯地を入れていたり、ワンピースはテーラードカラーだったりと、全体的にマニッシュなムードが漂う。
実店舗はニュウマン新宿店が唯一。コートなどの重衣料は10万円を超えるものもあり、ファッションビル販路としては高価格帯だが、「それでも服に目の肥えた方々からは、クオリティーに対してなら『安い』というお声を多くいただいている」(ビギ広報)。22-23年秋冬は、ツイード素材のアウター類が展示会で女性誌編集者の目に止まり、「リーシングの依頼や紙面特集でご紹介いただける機会が増えている」と手応えを話す。
伊勢丹新宿本店でのポップアップは、高感度な女性への認知拡大の大きなチャンスと捉え、限定商品を数点用意した。目玉は伊サルティ社のシャギーモヘアをたっぷりと使用したロングコート。「17万6000円という価格が値ごろに思えるほどのラグジュアリーなムード」(大槻聡士ディレクター)を目指し作り込んだ。
大槻ディレクターは、海外メゾンでデザイナーやモデリストを経て、ビギでは長らく「プルミエ アロンディスモン(1ER ARRONDISSEMENT)」のデザイナーを務めた人物(現在も兼任)。「デパリエ」ではこれらの経験やネットワークを生かし、世界中から厳選した素材を使ったコートやジャケットを作っている。「海外のラグジュアリーブランドに伍することができる日本発のブランドはひと握りだが、『デパリエ』はそこを目指していく。最上級の品格がある服を、多くの方々に手に届く価格で届けていきたい」と話す。
今後は各地の主要都市への直営出店や、高感度な商業施設・ショップへの卸拡大を数年スパンで計画する。