6月のメンズに続き、ウィメンズでもパリでのショーを再開した「ジュンヤ ワタナベ(JUNYA WATANABE)」は、今季も音楽からヒントを得たコレクションを披露した。渡辺淳弥デザイナーが思い描いたのは、もし80年代ロンドンのサブカルチャーである“ニュー・ロマンティック”に没頭する若者たちが現代に現れて、「ジュンヤ ワタナベ」の服を着たらというテーマ。会場にはデュランデュラン(Duran Duran)やロキシー・ミュージック(Roxy Music)の曲が流れ、2人ずつ登場するモデルには、当時のミュージシャン顔負けのヘアメイクがバッチリ施されている。実際に男性モデルも2人いたが、その姿はジェンダーの枠を超越した雰囲気が漂う。
序盤に提案したのは、一枚のスーツ地を用いたシリーズ。厚みのある肩パッドが80sムード満点の力強いシルエットを描く一方で、そこから流れ落ちるケープのような生地は軽やかに風をまとう。肩パッドのデザインは全体にプリーツが施されたシャツやトレンチにも反映。ボトムスにはネオンカラーやスパンコールがあしらわれたレギンス、ウォッシュドジーンズを合わせる。パールやチェーンのジュエリーはオーバーサイズシャツやドレスに組み込むことで、ドレープを生んだり、装飾となったり。足元にも同様のデコレーションで仕上げたポインテッドトーのレザーシューズや厚底ブーツ、「アッシュ(ASH)」とのコラボスニーカーを合わせることで、ギラギラ感を増している。
一方、後半には日本のバイク用品メーカー「コミネ(KOMINE)」とコラボレーションしたウエアを披露。白黒に鮮やかな赤や青を加えたスポーティーな配色のバイカージャケットをミニドレスのようなスタイルにアレンジしているのが印象的だ。ショーには「コミネ」のみが登場したが、「ホンダ(HONDA)」や「マクラーレン(McLAREN)」とのコラボアイテムもあるという。そんなバイクにも通じるような疾走感のあるショーは、見ていて気持ちがいい。