1995年にリサイクルポリエステル繊維「エコペット」の販売を開始し繊維リサイクルの分野をけん引してきた帝人フロンティアは、年間約2億着(約5万トン)を扱う衣料品のリユース・リサイクル事業の最大手企業ファイバーシーディーエムとタッグを組んだ。両社の知見を掛け合わせ、廃棄衣料の削減を目指す。
同取り組みでは、ファイバーシーディーエムが日本とヨーロッパ、アメリカの拠点で回収した衣料のうち、リユースやリサイクルに活用できないポリエステル素材の衣料を活用する。同社の工場で選別し、帝人フロンティアの最新のケミカルリサイクル技術でポリエステル原料に再生する。
古着などの卸小売業として創業したファイバーシーディーエムは通常、回収した衣服の約半分を自社で運営する古着屋や、国内外のリユース・リサイクル企業を通して再販し、再販できない衣類はウエスや車の内装材などに再利用しているが、約20〜30%の衣料は焼却処分になっていた。泉谷康成社長は、「サーマルリサイクル含めて燃やすのは最終手段。適切なマーケットを見つけてリユースするか、より良い形にリサイクルしていくことが理想だ」と話す。
重村幸弘・帝人フロンティア取締役執行役員技術・生産本部長兼新事業開発室長は「繊維リサイクルに着手した当時は、石油資源がなくなることへの危機感からリサイクルすることを目的としていた。しかし、カーボンニュートラルと循環型エコシステムの両立を目指す今の時代は、リユースが最も重要。同社と組むことで、捨てられる衣服がほぼなくなるような社会を目指せるはずだ」と話す。帝人フロンティアが今年5月に発表したリサイクル技術は、工程におけるエネルギーコストを削減しながら、変色を抑えて石油由来の原料と同等の品質に再生できる。今後量産規模のプラントを新設予定で、2025年までに技術確立を目指す。
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