オーストラリア発のラグジュアリー・フレグランス「ゴールドフィールド アンド バンクス(GOLDFIELD&BANKS以下、以下GLB)」が上陸した。オーストラリアというと、「イソップ(AESOP) 」や「ジュリーク(JULIQUE)」などの自然派スキンケアで知られているが、フレグランスというと思い浮かばない。「G&B」はオーストラリア初のラグジュアリー・フレグランスブランドだという。ブランドを立ち上げたのは、フレグランス業界のベテラン、ディミトリ・ウェバー(Dimitri Weber)氏。
ウェバー創設者は、フランス人の父とベルギー人の母を持ち、毎日香水をまとう母親の影響で、6歳のときにはすでに母が着けている香水を言い当てられるほどだったという。9月に来日したウェバー氏に、オーストラリアでブランドを立ち上げた理由などについて聞いた。
ウェバー氏は、出張でオーストラリアを訪れて一目惚れし、移住を決断。ブランド名の“ゴールドフィールド”とは金鉱のことで、オーストラリア西部の金鉱の近くではフレグランスに使用される上質のサンダルウッドが採れるそうだ。“バンクス”とは、オーストラリア大陸を発見したエンデバー号の乗組員だったイギリスの植物学者で植物学の父とも呼ばれるジョセフ・バンクス(Joseph Banks)から。彼がオーストラリアを訪れた際にワトル(ミモザ)をヨーロッパに持ち帰ったと言われている。オーストラリアは、植物と動物の多様性に富んだ土地だといわれる。ウェバー氏は、それらにインスピレーションを得て、2016年に「GLB」をスタートした。
オーストラリアは原料に恵まれながら、ノウハウがなくフレグランス不毛の地に
ウェバー氏は、「約10年前にオーストラリアを訪れた際に魅了された。オーストラリアには、フレグランスで使用されたことのない珍しい素材がある。サンダルウッドについては、古いものが品質が高いと言われている。オーストラリアでは、原住民のアボリジニが砂漠で自然死したものを行政に持ち込むんだ」と語る。「オーストラリア原産のフレグランスの原料は世界的に珍重されているが、それを生かすノウハウがないことに気付いた」と続ける。「GLB」では、原料はオーストラリア中心に、世界各地から選りすぐりのものを集める。世界的な香料メーカーであるスイスのジボダン社やフィルメニッヒ社から調達することもある。「まず、オーストラリアでフレグランスのフォーミュラを作成、調香はフランスや中東のドバイで行う。なぜなら、彼らは調香に関して知り尽くしているからね」。
ニコール・キッドマン夫妻も大ファン
「GLB」のフレグランスの名前は、ビーチで夕日が沈む様子をほうふつとさせる“サンセット アワー”やオーストラリアの海岸を散歩しているかのように爽やかな“パシフィック ロック モス”、オーストラリアの固有種であり国花のワトルをベースにした“ベルベット スプレンダー”など、現地の風景や時間、ムードを閉じ込めた香りばかりだ。フレグランスごとに調香師が異なるのも、フレグランスビジネスを熟知したウィバー氏のこだわりがうかがえる。オーストラリア人女優のニコール・キッドマン(Nicole Kidmann)とシンガーで夫のキース・アーバン(Kieth Urban)は、「GLB」の大ファンだ。ウィバー氏は、「ニコールとキースの自宅の至る所に、『GLB』の製品が置いてあるよ。タスマニア沖のブルーニー島に春咲く花、ボロニアへのオマージュの“サザン ブルーム”がニコールのお気に入り。彼らは、オーダーする際に『パッケージは不要』といって最低限の包装で送付するようにリクエストするんだ」と話す。
フレグランスとは“感情”
幼少の頃から、香水に触れてきたウィバー氏にとってフレグランスとはどのような存在だろうか?「“感情”だ。纏うだけでムードを変えることができるフレグランスの力は強力。私は、ちょっと嗅いだだけで、行きたい場所に飛行機に乗ることなく連れてってくれる香水を持ち歩いているよ」。
「GLB」は、現在30カ国、約400店舗で販売されている。日本では、ノーズショップ(NOSESHOP)が輸入販売を手掛ける。種類は全10種類で、価格は100mlで3万3000〜4万4000円。