ファッション

顧客入れ替え覚悟!「バリー」が脱皮のとき 「ルード」のルイージ・ビラセノールによる刷新を考察

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 171年の歴史を持つスイス発の老舗ブランド「バリー(BALLY)」が新たな時代を迎えようとしている。同ブランドは1月、ロサンゼルスを拠点にするメンズウエアブランド「ルード(RHUDE)」のルイージ・ビラセノール(Rhuigi Villasenor)をクリエイティブ・ディレクターに起用。由緒あるスイスの老舗レザーグッズ、LAのストリートブランドという意外な組み合わせには、驚きの声も多かった。そして、ついに9月24日にミラノ・ファッション・ウイークでの20年ぶりのランウエイショーで、新生「バリー」を披露。フロントローには、アメリカからルカ・サバト(Luka Sabbata)やエミリー・ラタコウスキー(Emily Ratajkowski)らルイージと親しいセレブリティーが大集合し、その晴れ舞台を見守った。

 コレクションの発表に合わせて、ロゴもリニューアル。1930年代にフランスの「バリー」店舗で使用されていた、フランス人建築家のロベール・マレ=ステヴァンス (Robert Mallet-Stevens)によるデザインを復刻した。ミラノにあるショールームも淡いベージュとゴールドのメタルを基調とした空間にビンテージ家具などを飾り、新たな装いに。新たなブランド像を描こうとする意欲が伝わってくる。

「バリー」とは?

 「バリー」は1851年、スイス・シェーネンヴェルトで、サスペンダーなどを生産するリボン工場として創業した。その後、創業者のカール・フランツ・バリー(Carl Franz Bally)がシューズの生産を開始すると、ヨーロッパでビジネスを拡大。1951年にはカールの孫である、マックス・バリー(Max Bally)が代名詞となるメンズのドレスシューズ“スクリーブ(SCRIBE)”を発表。マックスの死後、会社は家族外の起業家にブランドが売却され、競合が増えながらもブランドは生き残ってきた。2018年には、日本のレナウンや、フランスの国民的ブランド「サンドロ(SANDRO)」や「マージュ(MAJE)」も傘下に収めてきた中国最大の繊維メーカーである山東如意がバリー買収の合意に至ったが成立せず、現在はルクセンブルクのJABホールディング(JAB Holding)が親会社になっている。

 従来のデザインは「機能性とモダニティ」をキーワードに実用的なバッグやシューズを中心に、服飾雑貨やウエアを取りそろえてきた。また白と赤、白と黒など2色のストライプがトレードマークで、ビジネスバッグや革小物などに多くあしらわれてきた。顧客はフォーマルすぎず、カジュアルすぎないデザインを好む、30〜50代の男女だ。

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