メゾン＆ニッチフレグランスは、この20年ほど増加傾向にある。ファッションブランドが展開するファッションフレグランスに対してメゾン＆ニッチフレグランスは、宣伝やマーケティングを主とせず、より芸術性や世界観を重視していることから、フレグランス “愛香家 ”たちの興味を惹きつけ熱い支持を獲得してきた。この2～3年はその需要が日本でも広がりつつあり、あえてメインストリームではない香りを探すという若年層も年々増えている。連載第1回となる今回は、知る人ぞ知るメゾン＆ニッチフレグランスブランドを紹介する。「メゾン クリヴェリ（MAISON CRIVELLI）」と「ブーディカ ザ ヴィクトリアス（BOADICEA THE VICTORIOUS）」は今秋、日本初上陸する注目ブランドだ。
「メゾン クリヴェリ（MAISON CRIVELLI）」
2018年にフランスで誕生し、創業者のティボー・クリヴェリ（Thibaud Crivelli）が体験した記憶に残るシーンを香りにしている。例えば、噴火する火山の脇で遭遇したサンダルウッドの香りや、北欧の夜空の下で堪能した冷えたハーブ酒アブサンカクテルなど、実体験に基づくリアルなストーリー性と、コントラストのある香りが特徴だ。また、ブランドが取り組むエシカルな活動の一環として、原料の一つであるパチュリの生育のために売り上げの一部の寄付や、長期的な農家の支援を行う。現在38カ国、約260店舗で販売する。日本では、10月19日〜11月1日まで開催される香りの祭典「三越伊勢丹サロン ド パルファン 2022」で限定販売する予定。
「ブーディカ ザ ヴィクトリアス（BOADICEA THE VICTORIOUS）」
2008年創業の英国発ラグジュアリーフレグランスブランド。ローマ帝国と戦った古代ケルト族の女王ブーディカの美しさ、強さ、気高さにインスパイアされている。調香師は、多くのラグジュアリーフレグランスブランドを手掛けてきたクリス チャン・プロベンツァーノ（Christian Provenzano）とジョン・スティーブン（John Stephen）を起用。ボトル正面の象徴的な装飾は、英国王室御用達の金属加工工房「エー・イー・ウィリアムス（A.E. Williams）」の職人により1点ずつ手作りされている。同ブランドは「三越伊勢丹サロン ド パルファン 2022」で日本初披露となる。創業10周年を記念し誕生した“オードパルファン ディケイド”(100mL、税込6万7100円)は官能的なシトラスの香り。そのほか、“ヘアミスト アズラック”(50mL、税込1万7600円)や 4種の香りを楽しめる日本限定キット（税込3万7070円）なども販売する。
「キャロン（CARON）」
1904年にパリで創業した伝統的なフレグランスメゾンで、日本には昨年上陸。タバコとチョコレートを組み合わせたグルマンノートの“タバック・エクスキ”や、“タバック・ノワール”といったブランドとして伝統的なタバコの香料を採用した香りが、在庫切れを起こすほど人気を博した。今秋は、南米産のマテ茶を高配合した“タバック・ブラン オードパルファン”(30mL、税込1万8700円／50mL、税込2万5300円)を10月19日に発売する。1919年作でタバコを使ったレザー調の香りを生み出した“タバック・ブロン”に敬意を払い、現調香師ジャン・ジャック（Jean-Jacques）による新解釈で、輝きと心地よさのあるフレッシュなタバコの香りとなっている。
「フエギア1833（FUEGUIA 1833）」
ブエノスアイレス生まれの調香師ジュリアン・ベデル（Julian Bedel）が2010年に創業した。すでに日本でもフレグランス上級者の間で人気となっているが、10月27日に数量限定で発売する最高級の香木ウードに捧げるコレクション“ウード オブ ザ ワールド(El Mundo de Ouds)”(全9種、各30mL／100mL、税込6万6000～15万2940円)は、注目のニッチラグジュアリーフレグランスだ。ウードは、樹脂ができるまでに約300年がかかることから、世界で最も希少で高価な香料の1つといわれる。同コレクションは、東南アジア原産のアキラリアとギリノプスという2種の樹木から古典的な手法で採取した天然ウードと、べデル創業者の植物学的発見から生まれた香りをラインアップする。製品名には土地名が記され、大きく南米とアジアに分かれる。産地によりさまざまな表情を見せるウードの魅力が堪能できる。
YUKIRIN
美容・香水ジャーナリスト
香水・香り関連商品と、ナチュラル＆オーガニック美容分野に特化した記事を執筆。女性誌などのメディアで発信する。化粧品や香り製品のコンサルティングやイベントプロデュースなど幅広く活躍。「日本フレグランス大賞」エキスパート審査員、「イセタン フレグランス アワード2019」審査員などを務める
