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海外でも「ユニクロ」と「ジーユー」は住み分けできる?
日本では「ユニクロ」と「ジーユー」の住み分けが(若干カニバリつつも)なんとなくできている印象がありますが、海外ではどうでしょうか?正直、欧米は「やりやすいのでは?」と思います。パリの「ユニクロ」を見ましたが、訪れるのは高感度層だし、まぁまぁ大人ですよね。店内装飾からも、日本以上にカルチャーでインテリな印象を受けました。だったら「ジーユー」は、らしい商品で若者にアプローチできるのでは?“おしゃリスタ”が、その存在を担うのでしょう。
「ジーユー」の北米初店舗が10月7日にオープン “おしゃリスタ”がニューヨーク風スタイリングを提案
ファーストリテイリング傘下でトレンドファッションを低価格帯で提供する「ジーユー(GU)」は、米国初出店となるポップアップストア「ジーユー ソーホー ニューヨーク店」を、現地時間10月7日にオープンする。ブロードウェイに面した好立地の店舗は、1階ワンフロアで売り場面積は約270平方メートル。来年夏までの1年間の出店を予定しており、市場の反応を見て正式に来秋以降の常設店の出店を決定する。「ジーユー」は現在、日本国内では416店舗を展開。海外は中国、香港、台湾で35店舗を持つが、アジア以外への出店は今回が初となる。将来的には、兄弟ブランドである「ユニクロ(UNIQLO)」が世界展開をしている各国への出店を目指すという。
ニューヨーク店は“TOKYO TO SOHO”がスローガン。売り場面積も限られることから、日本で展開する「ジーユー」各店よりも商品数を半分ほどに絞った。ウィメンズウエアとメンズウエアのみで、キッズ、ベビーは扱わない。同店限定の商品はないが、“キュレーション店舗”としてニューヨーク市場に合った商品を厳選し、店頭では「ジーユー」独自の認定試験に合格した販売員“おしゃリスタ”がニューヨークらしいスタイリングを提案していく予定だ。
サイズは試験的に日本サイズを導入し、中心価格帯19〜39米ドル(約2717〜5577円)の商品を取りそろえる。ポップアップ期間中のオンラインストアの展開はなく、SNSを通じて現地での認知度の向上を図る。
米国初出店の狙いを柚木治ジーユー社長は、「今こそ『ジーユー』のグローバル化を加速する時だと思い、出店を決めた。巨大なアメリカ市場で、さらには世界のトレンドの発信地でもあるニューヨークのソーホーで実験し、そこから色々なものを学んでビジネスを成功させたい」と語る。「『ジーユー』の強みは機能性と品質に優れたトレンディーなデザインを低価格で提供すること。ニューヨーク店ではキュレーションをして選りすぐりの商品をそろえることで、お客さまが欲しいものを選びやすい店舗環境を作っている」という。
トレンドのファッションを明確に伝えてジーユーのブランド価値を高めるため、パフィータッチクロップドタートルネックセーター(29.9米ドル=4275円〜)やインタックワイドパンツ(39.9米ドル=5705円〜)、リサイクルポリエステルを使ったヒートパデットブルゾン(49.9米ドル=7135円〜)などを、イチオシ商品として展開していく。
アダストリア2022年3〜8月期、基幹の「グローバルワーク」がけん引し増収増益 23年春夏も値上げ
アダストリアの2022年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比21.6%増の1125億円、営業利益が同781.6%増55億円、純利益が同767.3%増の38億円だった。基幹ブランドの「グローバルワーク(GLOBAL WORK)」が、売り上げ・利益ともに好調だったことに加え、積極出店している生活雑貨の「ラコレ(LAKOLE)」が売り上げを押し上げた。「不要な値引きをせず夏のセールも乗り切ることができ、3〜8月は想定通りに推移した」と木村治社長は振り返る。
原料高や円安を受け、「今秋冬物の原価率は前年秋冬に対し1.5ポイント高まっている。全ブランドの商品の平均で、小売価格は前年秋冬より250〜300円ほど高くなっている」(大屋守上席執行役員生産統括本部長)。ただし、「(前年に対し値上げした)22年春夏や今秋の立ち上がりを見る限り、値上げによる離反は見られない。逆に、価格を上げて質の高い商品を投入した『ハレ(HARE)』『ページボーイ(PAGE BOY)』などは、より濃いファンが増えている」(木村社長)と手応えを得ている。
今後は、早期発注や使用素材や工場の集約、アセアン生産比重を高めることなどで値上げを極力抑える。その上で、23年春夏物は前春夏に対して、原価率が1.5ポイントほど高まる見込み。
積極出店を続ける中国本土は、上海のロックダウンの影響で出店計画はやや後ろ倒しになっている。現状は上海に7店を運営しているが、今期末(23年2月)に向けて成都、重慶にも出店する。23年2月末時点の中国本土の店舗数は13店となる見込み(期初計画では16店)。「中国本土はロックダウンが断続的に続いているが、台湾や香港、米国などの事業が底上げする形で、23年2月期も海外事業として黒字を達成できる」と北村嘉輝常務。
「クワイエット・ラグジュアリー」の静寂を破り、2026年春夏のウィメンズ市場に“カワイイ”が帰ってきました。しかし、大人がいま手に取るべきは、かつての「甘さ」をそのまま繰り返すことではありません。求めているのは、甘さに知性と物語を宿した、進化した“カワイイ”です。「WWDJAPAN」12月15日号は、「“カワイイ”エボリューション!」と題し、来る2026年春夏シーズンのウィメンズリアルトレンドを徹底特集します。