J.フロント リテイリングの2022年3〜8月期連結業績(国際会計基準)は、小売業の売上高に相当する総額売上高が前年同期比16.8%増の4641億円、営業損益が132億円の黒字(前年同期は13億円の赤字)、純損益が101億円の黒字(同19億円の赤字)だった。
百貨店事業を運営する大丸松坂屋百貨店の総額売上高は前年同期比24.0%増の2794億円と伸ばした。ただし、コロナ前の20年2月期との比較では15.4%減。店舗別の売上高は、大丸神戸店(20年2月期との比較で8.5%増)、松坂屋名古屋店(同3.7%減)大丸札幌店(同9.8%減)など固定客が強い店舗は回復傾向にある。一方で、大丸東京店(同28.6%減)、大丸梅田店(同31.0%減)など人流で集客する店舗は回復が遅い。
J.フロントの好本達也社長は「(売り上げ不振の)根底にあるのは、店が空いているときにしかお客さまとコミュニケーションが取れていなかったことだ」と語る。すでにデジタル会員数が150万人を超えたパルコを引き合いに、「OMO(オンラインとオフライン)を考えの中心においたお客さまとの関係構築を一層強化していく」とする。
活発な富裕層消費により、外商売上高が伸長している。大丸松坂屋百貨店の外商売上高は20年2月期比で10.4%増。20〜40代のシェアは29.7%に達した。好本社長は「この数字(29.7%)は全く高いとは感じていない。まだまだ伸ばせる余地がある。来年(23年2月期)には外商売上高2000億円をクリアしたい」と前を見据える。
23年2月期通期連結業績の予想は、総額売上高が前期比12.6%増の9750億円、営業利益が同2.5倍の235億円、純利益が同3.7倍の160億円。インバウンド売り上げは入国規制緩和により、下期(9月〜23年2月)で120億円のプラス効果を見込む。