パルグループホールディングス(HD)の2022年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比23.7%増の781億円、営業利益が同2.7倍の75億円、経常利益が同2.8倍の77億円、純利益が同3.3倍の48億円となり、すべての項目で過去最高を達成した。コロナの収束感から個人消費が回復したことで衣料事業の売り上げが大きく伸びたほか、「スリーコインズ」を軸とした雑貨事業の底堅い伸びが好業績につながった。
既存店売上高は、店舗・ECが同21.6%増、店舗のみが同17.7%増、ECのみが同30.1%増で、ほぼすべてのブランドが回復した。とくにEC事業がコロナ前から大きく伸長した。EC売上高は同31.1%増の198億円。「今期目標の400億円が射程内に入ってきた」(井上英隆会長)。EC化率は過去最高の39.8%で前期比1.8ポイント増加。アプリ会員数も8月末で683万人を超え、年間目標は800万人をめざす。
セグメント別では、衣料事業の売上高が同25.2%増の498億円。EC化が遅れていた「ディスコート」の店舗大型化が進み、売り上げが3倍以上に伸びた。「カスタネ」の売上高は同158.%増、「チャオパニックティピィ」は同37.4%増、「チコ」も同32%増とカジュアル系衣料がとくに好調に推移した。
一方、雑貨事業の売上高は同21.2%増の282億円。生活防衛雑貨ブランドとして「スリーコインズ」の売り上げが約50億円増え、好業績をけん引した。期末店舗数は衣料と雑貨合わせて全体で31店舗増の933店となった。
粗利益率は前期比0.7ポイント増の55.8%。衣料事業が回復し、期中の値引きが削減されたこと、先行予約販売が増え、プロパー消化が進んだことが大きな要因となった。ただ、雑貨事業は、急速な円安や資源高によるコストアップの影響が響いた。「『スリーコインズ』の300円商品はもろに影響を受けているが、約4割は300円超えるのでかつての円安のときほどではない」(井上会長)。
また販管費は、コロナ禍の有事の状況から脱して通常に戻りつつある。賃料はデベロッパーとの引き下げ交渉が実り、低下傾向にあるという。
同社は中長期計画で売上高3000億円の実現を掲げている。今期(23年2月期)の連結業績予想も1540億円、営業利益108億円、経常利益110億円に上方修正した。井上英隆会長は「蝉のぜい変(抜け殻)のように、その時々の情勢に合わせた対応を積み重ねてきた結果。3、4年かけてSPAの仕組みを作ったのを皮切りにそのときに一番すべきことをやってきた。厳しい情勢下でも抵抗力をもって業績を伸ばせる強い企業体質になった」と話す。
通期の新規出店は約97店舗とコロナ前の水準に戻り、今後も条件があえば積極的に出店する。来期に向けて7000円程度のベースアップも検討しており、優秀な人材の確保に動く。