「WWDJAPAN」のソーシャルエディターは毎日、TwitterやFacebook、Instagram、そしてTikTokをパトロールして、バズった投稿や炎上、注目のトレンドをキャッチしている。この連載では、ソーシャルエディターが気になるSNSトレンドを投げかけ、業界をパトロールする記者とディスカッション。業界を動かす“かもしれない”SNSトレンドの影響力や、投稿がバズったり炎上してしまったりに至った背景を探る。今、SNSでは何が起こっているのか?そして、どう向き合うべきなのか?日々のコミュニケーションのヒントにしたい。
> ベラ・ハディッドの“スプレードレス”が大バズり 「コペルニ」2023年春夏コレクション
ソーシャルエディター津田:先日行われたパリ・ファッション・ウイークの「コペルニ(COPERNI)」の2023年春夏コレクションのショーが、SNS上で大きな話題となっています。プレゼンテーションのフィナーレでモデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)が裸で登場したこと。そして体にスプレーを吹きかけられると、それらが白いドレスに変化し、ベラは何事もなかったようにランウエイを歩いたことなどが要因です。後者はビジュアル的なインパクトによるものですが、前者は違います。裸のインパクトではなく、「全裸で登場させる必要はあったの?」や「なぜ女性モデルだけにやらせるの?(これは、今回がウィメンズのショーだったからだと思いますが……)」など、女性の体を消費したようにも思える表現だったことに否定的な意見が噴出しました。また、「ベラも、噴射していたスタッフもマスク等をしていないけれど、吸い込んでも健康被害はないの?」という反応もあります。メディアでは美しいと称賛された反面、SNSではネガティブな意見もかなりありました。
このスプレーの技術は、繊維素材が混ぜられた溶液をスプレーで何らかの表面に吹き付けると、即座に乾燥して不織布の層を作り出すというものです。開発したのはマネル・トレス(Manel Torres)博士が03年に設立したファブリカン(FABRICAN)。意外だったのは、技術自体は10年前には存在し、「コペルニ」は12年のショーでも似たようなパフォーマンスを行ったそう。ネットやSNSの発展により世間の目に触れる機会が増え、ファッション業界の外でも話題になるチャンスが増したため再挑戦したのでしょう。トレス博士はこの技術をファッションのほか、ヘルスケアや自動車、梱包資材など、他業界への応用も検討しているそうですが、すぐにでも着手して欲しいですね。今すぐ何に、は思いつきませんが、ファッションショーより活かせる場がありそうです。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。