芦田多恵デザイナーによる「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」が、2023年春夏コレクションをファッションショー形式で12日に発表した。東京の新国立競技場を舞台に、トラックの一部をランウエイに見立てた。会場にはジャーナリストをはじめとするアパレル関係者と多くの顧客を招待し、ショーは計3回行った。BGMは音楽プロデューサーの小室哲哉が担当。同氏によるライブパフォーマンスでショーが開幕すると、コレクションの世界観に合わせた重厚なリズムから、往年のプロデュース曲を思い起こさせる軽快なダンスビートまで、変幻自在の楽曲でショーを盛り上げた。
今季のウエアは、ヘルシーな肌見せと軽やかな素材使いが目立った。ファーストルックは、ジャージー素材のフーディーとトラックパンツのスポーティーなスタイル。トップスは腹部が見えるクロップド丈で、袖をたくし上げて肌を見せる。大地を感じさせる色柄の中盤、新たなエレガンスを探求する素材使いの終盤までの間に、サファリやミリタリー、ワーク、フォークロアとテイストを広げていく。それでも一貫していたのは、背中やウエストのカットアウト、タンクトップとのレイヤードなどの肌見せで、アクティブな雰囲気を継続させた。
キーカラーはライムイエローとライラックで、足もとは軽快なラバーソールのレザーサンダルがメイン。“T”を複製したアナグラムやビッグロゴ、ビジューで表現したグラフィックTシャツなど、若年層にもタッチポイントを広げるディテールも見られた。モデルとして大平修蔵やUTAが登場したメンズは、装飾を極力省いたミニマルでシャープなテーラリングを軸にし、やわらかい素材使いがスポーティーなムードだ。
ショー後に芦田デザイナーは「今シーズンは特別なテーマを設けず、とにかく楽しんでもらえるコレクションを目指した。今の時代、服作りの哲学やストーリーよりも、誰が見てもワクワクするデザインが必要だと思うから」と語った。