バロックジャパンリミテッドの2022年3〜8月期連結業績は、売上高が前年同期比1.6%増の269億円、営業利益が同40.1%増の7億4100万円、純損益が1億6400万円の赤字(前年同期は2億9900万円の黒字)だった。正価販売の強化などが実り、国内事業は増収増益。一方、中国事業はロックダウン(3月下旬〜5月下旬)の影響で店舗休業を強いられ、売り上げが大きく減少した。
「非常に残念な決算になった」。村井博之社長は18日に行われた決算会見でそう切り出した。現地法人バロックチャイナ(靴小売りのベル・インターナショナルとの合弁企業)が運営する中国事業は、3〜8月の売上高(卸売とロイヤリティの合計)が前年同期比30.7%減だった。「当社は10年以上前から、他社に先駆けて中国に新たな市場を求めて進出してきた。それが裏目に出てしまった」。同国でのEC売り上げは同8.6%増と伸長したが、実店舗の落ち込みをカバーしきれなかった。
バロックの商品において、中国製は全体の6割強を占める。納期遅延は国内ビジネスにも影響が出た。「アズールバイマウジー(AZUL BY MOUSSY)」などを中心とするショッピングセンター販路の売上高は前年同期比微増の123億円、「マウジー(MOUSSY)」などのファッションビル販路は前年同期比9.2%増の80億円。「商品の投入時期が計画からずれてしまい、思ったよりも数字がとれなかった。適正な仕入れ量で売り切り、きちんと利益を残す。このビジネスモデルはコロナ禍でも一定の結果を残すことができた。だがこれからが勝負というときに、出鼻をくじかれてしまった」と悔やんだ。
23年2月期の通期連結業績は、売上高が前期比7.2%増の633億円、営業利益が同17.9%増の32億円、純利益が同20.6%増の17億円の予想値を据え置いた。下期(9月〜23年2月)は中国でのECチャネル強化に注力している。6月にスタートしたウィーチャットのミニプログラムでのライブコマースやオンライン販売、スタッフコーディネート紹介などを通じ、客との接点を拡大、新規客獲得とリピート率向上につなげる。ロックダウンなど予測不能な状況にも対処できる柔軟なサプライチェーンの構築も進める。これらの施策により、「(中国事業の業績は)予定通りの着地を目指したい」とする。