ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、化粧品のサブスクリプションの話。(この記事はWWDジャパン2022年10月17日号からの抜粋です)
【賢者が選んだ注目ニュース】
化粧品国内大手が下方修正の中、ロレアルは大幅な増収増益達成
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国内の化粧品市場はいまだ厳しい状況が続いている。百貨店の売り上げ統計の化粧品カテゴリーでは、8月度は前年同月比17.9%増と伸長しているものの、19年同月比では38.2%減と依然としてコロナ禍前の水準に戻っていない。国内の大手ビューティ企業は苦戦が続き、2022年度の業績を下方修正する中で、ロレアルは右肩上がりで業績を伸ばしている。ロレアルの21年の業績は19年の業績水準以上に回復し、22年の上半期においても原料価格の高騰などの影響を相殺し、増収増益を達成している。
ロレアルと日本企業の業績格差の一つとして、欧米ではZ世代の構成比が大きいことにあるが、一方の日本はというと、年金受給者が4040万人(19年度末時点)とシニア層にあたる年金世代が国民の3割を占めており、消費意欲も高くはない。
いま、2人以上の世帯における年間平均化粧品支出金額は全国平均で約3万5000円(20年総務省統計局家計調査)と、前年よりも減少傾向にある。国内の市場調査においても22年上期の価格帯別では、前年と比較すると低価格帯化粧品の増収率が最も高かった。また、粧美堂によると、足元のディスカウントストアや100円均一店向けの化粧品出荷額は、ドラッグストアをはるかに上回る成長率であるという。昨今は身の回りで値上げが相次ぎ、全体的に消費意欲が低迷する中で化粧品類に対する節約意識も高まり、トレードダウンが起きている。
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