「シャネル(CHANEL)」は10月14日、東京・銀座並木通りにウオッチとファインジュエリーの旗艦店をオープンした。3層約227平方メートルの同店舗では、ファインジュエリー、ハイジュエリー、ウオッチ、ブライダルジュエリーを販売。オープンを記念して、10月末まで「シャネル No5」にオマージュを寄せた55.5カラットのダイヤモンドネックレスを展示する。
店舗の設計は、パリ・ヴァンドーム広場18番地のリニューアルした旗艦店同様、建築家のピーター・マリノ(Peter Marino)が担当した。ファサードは、ガブリエル・シャネル(Gabrielle Chanel以下、シャネル)が愛したコロマンデル(屏風)を想起させるファサードで、エントランスがアシンメトリーに構成されているところも、「シャネル」らしい独自の美意識がうかがえる。ラグジュアリー・ブランドが軒を連ねる並木通りは、エントランスに規定があるらしく、アシンメトリーなものは珍しい。
店舗に一歩足を踏み入れると、白、黒、ベージュ、ゴールドを基調にした空間が広がり、高い天井には、金細工のアトリエであるゴッサンス製のシャンデリアが飾られている。和の要素を取り入れ、職人が何層も塗り重ねた漆喰の壁は控えめでありながら、何とも言えない微光を放つムーンゴールドカラー。リネンに金箔をあしらったアートとブラックのラッカーパネルを組み合わせたY.Z.カミによるスクリーンも見どころだ。階段の奥にもファインジュエリーやウオッチが紹介されており、エレベーターまたは階段で上階へ。階段は天井までミラーが施されており、まるで、パリのシャネルのアパルトマンのようだ。
ラグジュアリー・ブランドのブティックは幾つも見ているが、一つ一つ織りの異なるカーペットや壁などこれほどテクスチャーにこだわった店舗はない。細部までこだわり尽くしたぜいたく極まりない宝石箱のようなブティックだ。
パリのアパルトマンのように親密なVIPサロン
2階はハイジュエリーと高級ウオッチ、VIPサロンから構成されている。ハイジュエリーエリアのショーケースには、「シャネル No.5」にオマージュを寄せた55.5カラットのダイヤモンドを使用したネックレスを展示。キューバ出身のアーティストであるヨアン・カポーティによる海を表現した作品「Untitled」などが展示されている。高級ウオッチのエリアにはソファが置かれ、ゆったりと商品を見られるようになっている。その奥がVIPサロン。あえて間口を狭くしているのでプライベート感たっぷりで、思わずくつろいでしまう空間になっている。ゴッサンス製にシャンデリアやマリノによって選りすぐられたアート作品および、1800年初頭のアンティークデスクなどが置かれたパリのアパルトマンにいるかのような落ち着いた雰囲気だ。その中央には、大きなスクリーンがあり、パリ・ヴァンドーム広場のアトリエとオンラインでつなぎプライベートセッションも可能だ。
世界初のメンズウオッチのエリアと広々としたブライダルサロン
3階は、世界初のメンズウオッチのコーナーとブライダルサロンになっている。
落ち着いたトーンが基調のメンズコーナーには、彫刻家のイングリット・ドナによる本棚をバックにウオッチの数々を展示。マリノが選んだアーティストのモダンで遊び心あふれる作品が置かれた空間だ。
奥のブライダルサロンには京都の西陣織「細尾」による壁紙が、敢えて裏側を表にして施され、柔らかな雰囲気を醸し出している。「シャネル」のブライダルコレクションが集結しており、ラグジュアリーな空間で、さまざまな商品を試せるようになっている。