NTT都市開発は、東京・原宿の新たな商業施設「新生・原宿クエスト(仮)」の概要を発表し、新築工事に着手した。地下2階〜地上6階の施設で、延床面積は約7800平方メートル。ファッションをはじめとする物販と飲食、オフィスなどが入り、2025年のオープンを目指す。今秋からリーシングを本格始動し、表参道沿いにグローバルブランドの旗艦店を誘致するほか、新興ブランドも積極的に入れる予定だ。施設名は商標登録中のため仮となる。
新生・原宿クエストは、同敷地に構えていた「原宿クエスト」の建て替え建築だ。「原宿クエスト」は1988年に同社が開発した商業施設で、「ジーユー(GU)」のショールーム型店舗「ジーユー スタイル スタジオ」や「プーマ(PUMA)」の直営店、ヘアサロン「ミンクス(MINX)」といったテナントと、イベント向けのホールなどが入っていた。30年にわたって営業していたが、周辺エリアのさらなる価値向上を目指して建て替えを決め、21年10月に閉業した。
新施設は、低層棟と高層棟の2棟で構成する。両棟の間に幅員を広くとった通路を設けて、表参道から奥原宿(表参道や竹下通りから内側に入ったエリア)へとつながる新たな人の流れを創出する。高層棟の上層にはテラスやルーフトップを設えて、明治神宮や代々木公園、表参道のけやき並木を望む空間にする。2階には大きなデッキを設置し、通常は休憩スペースとして活用するほか、季節ごとのイベントやポップアップスペースとしても使う。NTT都市開発 開発本部 商業開発部 担当課長の原田由加里は、「原宿は独自の文化を発信してきたクリエイティブな街。新しい刺激と唯一無二の体験を与える場所を目指す」と語る。
建築デザインは、設計事務所OMA(Office for Metropolitan Architecture)に所属する重松象平が担当した。表参道側のファサードは高さが際立ち、奥原宿側は小さな店舗や広場を配置して周辺環境になじむようにした。「表参道は大きなビルや路面店が並び、エネルギッシュなスケールを持つ。一方で奥原宿は、ヒューマンスケールの個人店や個性的な店が軒を連ねる。その2面性を融合した。この計画は、NTT都市開発をはじめ、複数の企業とのコラボレーションによって初めて実現するもの。改めて感謝したい」と語った。