朝晩は肌寒さを感じることも増え、いよいよ秋冬のおしゃれが楽しくなってきました。向千鶴「WWDJAPAN」編集統括兼サステナビリティ・ディレクターは、この秋冬もサステナブルとデザインを両立させたアイテムを購入したようです。今回はその中でも特にお気に入りのアイテム5つを紹介します。
「ニアーニッポン」の京都の手捺染の柄ワンピース
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「『ニアーニッポン(NEAR.NIPPON)』のデザイナーの深山拓也さんが手描きした柄はよく見るとトロピカル。このワンピースは綿100%のヘリンボーンに京都の職人による手捺染で再現してあります。4月25日号の表紙にも掲載しました。同じ柄でもリサイクルポリエステルの生地に昇華転写プリントしたアイテムもあります。同じ柄を異なる生地に載せたのは『それぞれのアイテムにベストな生地を選んだから』と聞いて納得。サステナブルに丁寧に取り組んでいるブランドですが、最後の判断・選択はデザイナーが“届けたいデザインであるか”という点がほんといいな、と思います。トレーサビリティーが取れているイタリアのマンテコ社の生地を使ったボレロを合わせます」(向千鶴「WWDJAPAN」編集統括兼サステナビリティ・ディレクター、以下同)
「カナコ サカイ」のセットアップ
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「『カナコ サカイ(KANAKO SAKAI)』のデザイナー、サカイカナコさんはガッツとユーモアを併せ持つ女性。話していると元気になります。日本の産地の技術継承を大切に考えている彼女は、生地や技術の話になると止まらない。このセットアップも桐生の最新技術を使ったジャカード織りで、アーティストのユリカ シロヤマの作品を生地に落とし込んでいます。光の反射で表情を変える波打ち際をイメージしたそう。着用している時にサカイさんに会ったら至近距離で生地の仕上がりチェックをしてくるものだから、なんだかドキドキしました」
「ダブレット」の“オーガニックコットン50%です”Tシャツ
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「アイロニーとはこのことですよね。『オーガニックコットンを使用していると言いながら、その割合は半分』という“グリーンウォッシュか否か”論議を呼びそうな素材使いをあえて選び、堂々と語っちゃっている『ダブレット(DOUBLET)』のTシャツです。ならばここで選ぶ色はグリーンだろうと、この色を選びました。ダボダボで着たいからサイズはXL。サステナ系イベントで着たいと思います。なお、残りの50%の素材はリサイクルポリエステルであるという、完璧なオチが用意されています」
「境ジュエル」の“バレエシューズ タバコ”ピアス
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「このピアスの素材はポイ捨てタバコとお人形の靴です。セレクトショップのエシカルコンビニで一目ぼれしました。アーティストのカナコネヅ(Kanako Nezzz)さんが手掛けるブランド『境ジュエル(SAKAI JEWEL)』は、彼女の地元でもある神奈川県を流れる境川で拾い集めたゴミを素材にしています。これはバレエシューズだけど、カラフルなピンヒールのバージョンもあり、その名も“ハイヒールタバ子”。ネーミングセンスも好きです。どんな場でもこのピアスの話で10分は盛り上がれます。“2050年リング”は『2050年には海中のプラスチックの量が魚の量を超えるかもしれない』危機感をユーモラスに表現。水着を着た同性カップルがキスをしていてかわいいです」
「リット」のカーディガン
廃棄予定の糸使いだからこその予定不調和
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「ワンピース派のため、秋の始まりにはカーディガンが欠かせません。廃棄予定の素材を生かした服は多いですが、肝心なのはその生かし方ですよね。こちらはスタイリストの酒井美方子さんと松本香織さんがディレクションする今秋冬デビューのニットブランド『リット(RITTO)』です。使える素材に制限があるからこそ、スタイリストのセンスが生かされていて、異なるテクスチャーや編み方、ゲージを組み合わせること自体を2人が楽しんだな、ということが伝わってきます」