ファッション

満を持して旗艦店が登場 「シャネル」の時計・宝飾部門トップに聞く継続成長の鍵

 「シャネル(CHANEL)」のウオッチ&ジュエリーの旗艦店が10月、東京・銀座並木通りにオープンした。同旗艦店は3層、約227平方メートル。そのオープンに伴い、フレデリック・グランジェ(Frederic Grangie)シャネル パリ 時計・宝飾部門社長 が来日した。同社長に旗艦店について、コロナ禍・後の戦略や取り組みについて聞いた。

WWD:ウオッチ&ジュエリー専門の旗艦店をオープンした経緯と目的は?

フレデリック・グランジェ=シャネル パリ 時計・宝飾部門社長(以下、グランジェ):「シャネル」は何事もじっくり時間をかけて長期視点で行う。だから人々から渇望されるブランドなのだ。あらゆる商品を見てもらえる旗艦店という場所はとても大切。ファインジュエリーからハイジュエリー、高級時計などをそろえるだけでなく、日本独自の試みとしてブライダルサロンを設置。世界初のメンズコーナーもつくった。ここで、「シャネル」の歴史やクリエイションに裏打ちされた世界観を体験してもらえるはずだ。

WWD:旗艦店で提供する商品やサービスは?

グランジェ:パリ・ヴァンドーム広場の旗艦店が改装し、新たな次元へ向いつつある。

 銀座の旗艦店は、その姉妹店で、建築家のピーター・マリノ(Peter Marino)がデザイン。「シャネル」メゾンのコードを完璧に理解し、持ち前の才能とひらめきで“ぜいたく”な旗艦店にしてくれた。顧客に最高の体験を提供できる環境だ。夢が叶ったと言ってもいい。新たな取り組みとしては、VIPサロンにスクリーンがあるので、東京の顧客とパリ・ヴァンドームのアトリエをつないで、オンラインだが顔を合わせて接客ができる。ラグジュアリーかつプライベートな空間でゆったりとコミュニケーションを取れるようになっている。コロナ禍でいろいろなテクノロジーが出てきたが、人と人との触れ合いが大切だ。

継続投資で過去最高の売上高を記録

WWD:コロナ禍における戦略は?結果が出た施策は?

グランジェ:まずは、家族ともいえるスタッフをしっかり支えるのが大切だった。国によっては、長期間店舗をクローズしなくてはならなかったが、「心配ない」と言い聞かせた。2つ目は投資をし続けてきたという点。だから、コロナ後に最高の売り上げを記録することができた。今年5月にはヴァンドーム、10月には銀座の旗艦店をオープン。来年春には、米ロサンゼルスのロデオドライブ、秋にはニューヨークの5番街に出店する。コロナのような苦境があっても、ビジョンを持って、投資を続けながら運営するのが重要だ。

WWD:富裕層市場の活況について、どう分析するか?

グランジェ:「シャネル」はクリエイティブなメゾン。高額品の要望の高まりは持続しているので、それに対応していく。「シャネル」のメゾンのコードを取り入れた高級時計は、見た目もムーブメントも素晴らしく、他に比類するものはない。ハイジュエリーも同じだ。「シャネル No.5」にオマージュを寄せた55.55カラットのダイヤモンドネックレスは、“最高峰”を具現化したもの。世界最高の石と技術を用いた「シャネル」だからできるネックレスだ。

WWD:今後の日本戦略は?

グランジェ:日本は、とても洗練された市場。日本とフランスには共通するものがある。日本人は品質の高いものや工芸の大切さを理解している。日本人は「シャネル」のクリエイションを理解してくれていると確信している。コロナ禍ではできなかった旗艦店でイベントの開催やクリエイターの来日などで、秀逸したクリエイションをアピールできる。「シャネル」はファッションや化粧品などいろいろな分野があり、最もすばらしいクリエイションやサプライズを提供する。日本市場には限りがなく上り詰めていけると思う。

WWD:今後のウオッチ&ジュエリービジネスにおける展望は?

グランジェ:勢いのある成長で、ウオッチは世界的に絶好調。1987年にデザインされたウオッチ“プルミエール”を再び販売する。時代の先端を行っていたそのウオッチの成功を支えたのは日本人だ。きっと、納品のウェイティングリストの管理が課題になってくるだろう。

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