合同展示会「第13回ファッションワールド 東京(FaW TOKYO) 秋」が10月18〜20日、東京ビッグサイト東展示棟で開かれた。3日間での来場者数は前回を約2000上回る19147人となった。引き続きサステナブルを切り口にしたゾーンが出展社・来場者ともに活況で、加えて今期は海外からの来日出展が戻ってきたこともありインポートゾーンが拡充した。620の出展社の中から初参加を中心にリポートする。
海外からの出展は26カ国・300社で、半数以上が新規となった。中国は引き続き遠隔出展で、その他の国の多くは関係者が来日してブースで接客にあたった。出展スペースを広く割いたのが、OEM受注などを中心としたバングラディシュやインドと、アパレルや靴など製品展示を中心としたドイツ、韓国、モロッコだ。
ペルーは駐日大使館商務部の取りまとめで初出展し、アルパカ製品を全面に押し出し7社が参加した。「カシミヤと比べてまだ知名度が低いアルパカの魅力を伝えたい。代理店を探している企業が多い」と商務部担当者。来日した担当者が自ら製品を着て接客に当たるブースには活気があった。
集客が多かったのは、「サステナブル ファッション エキスポ」のゾーンだ。同展がサステナビリティを切り口にしたゾーンを設けるのは4回目で、回を追うごとに出展者が増え、今回は昨年の倍のスペースを割いた。当初は再生繊維などを訴求する素材メーカーや繊維専門商社の出展が中心だったが今回はそれに加えて、“循環”をキーワードに回収からリサイクルのプラットフォームや、デジタルを生かしたより無駄のない生産技術など提案の幅が広がっている。伊藤忠商事は「レニュー」名で初出展し、リサイクルポリエステル素材「レニュー」に加え、エコミットと業務提携した繊維製品の回収サービス「ウェア・トゥ・ファッション」を展示。ロフトなどと取り組む繊維製品の回収・循環プラットフォーム「ビオロジックループ」も初出展し、ブースは終日賑わっていた。
素材や生地では生分解性がキーワードの一つとなっており、目を引いたのは日本毛織による海水中でのウールの生分解性実験の公表だ。同社によると、ポリエステル長繊維・ウール交撚糸を使ったTシャツとポリエステル100%のTシャツを生け簀の海水に150日間、浸漬させたところ、ウール部分がほぼ生分解されてポリエステル長繊維の部分がガーゼ状に残ったという。西川毛織との別プロジェクトに参加した「リコール(REQUAL≡)」の土居哲也デザイナーなどがトークイベントも行なった。
また従来はアパレルやレザーグッズなど他ゾーンに出展していた、企業・団体がサステナブルを切り口に同ゾーンへ出展するケースも増えている。皮革産業連合会は「ジャパンレザーショールーム」として大きなスペースを割き、レザー素材から靴や革小物などの製品まで16社が日本製レザーを総合的に展示。加えて皮革に関する知識を伝えるパネルを用意し、日本で使われている天然皮革が基本的に畜産の副産物であることや、進化しているなめしや染色方法などを紹介。長く使うための具体的な手入れ方法を実演するなど日本のレザーの品質に加えてサステナブルな側面を訴求した。
タイのリサイクル・テキスタイルのリーディングカンパニーSCグランドは、インポートではなくサステナブルのゾーンに出展し代理店探しなどを行った。その理由をジラロット・ポジャナヴァラパン=マネージング・ディレクターは「SC は“‘Sustainable Cloth”を意味し、私たちは祖父の代から50年以上にわたって繊維廃棄物やリサイクル工場を運営しており、出展するならここだ」と話す。多くの企業がサステナブルを前提に提案を始めているなか、今後は同展がどのようなゾーニングで集客を図るのか、業界事情の縮図とも言える同展だけに今後の切り口が気になるところだ。