「ザラ(ZARA)」はサステナビリティ戦略の一環で、リペア、リセールおよびリサイクルからなる循環型プログラム「プレ オウンド(Pre-Owned)」のパイロット版を11月3日に英国で始動する。
リペアサービスは、自社製品のみを対象とし、英国国内の60の店舗と公式オンラインサイトで受け付ける。着用年数は問わない。利用者は、ボタンやジッパーの付け替え、シームの補修など修繕にかかる費用のほか、オンラインの場合は送料も負担する。商品の到着後、10日以内に返送する。
同プログラムの第2の柱は、顧客間で「ザラ」の中古商品の売買ができるリセールプラットホームの立ち上げだ。出品者がアイテムのタグやバーコードをスキャンすると、該当アイテムの写真と情報が自動的に「ザラ」から提供される仕組みで、出品者は必要に応じて写真や詳細を追加できる。出品手数料は無料で、購入者は1ポンド(約168円)の手数料と5%のサービス料を支払う。
また、2015年に始動した店頭での衣料品の回収および寄贈プログラムを拡大する。自宅での回収にも対応するほか、他社商品も回収対象とする。英国赤十字社と提携し、同団体が仕分けや再販、リサイクルを行う。19年時点では3万4000トンの中古商品を回収した。
パウラ・アンプエロ(Paula Ampuero)「ザラ」サステナビリティ責任者は、「使用できない衣料も信頼できるルートを見つけ、埋立地に行く廃棄衣料がなくなるよう英国赤十字社に求めている」と話す。同氏は現状の繊維リサイクルの難しさに言及した上で、「私たちは、廃棄衣料をごみとは呼ばず新たな資源として捉えようとしている」とも述べた。
「バーバリー(BURBERRY)」や「グッチ(GUCCI)」といったラグジュアリーブランドをはじめ、マス向けブランドの「リーバイス(LEVI’S)」「ナイキ(NIKE)」、「ザラ」の競合に当たる「H&M」、その姉妹ブランドの「コス(COS)」などもリセールプラットホームの設立や投資を開始しており、「ザラ」は出遅れたかたちとなっていた。
アンプエロ=サステナビリティ責任者は、「このプログラムは当社にとっても初の試みだ。英国でどのように機能するかを検証し、市場の全体を理解に役立てたい」と話す。