経済産業省が日本初のファッションローガイドラインの策定に着手する。「令和4年度 展示会等のイベント産業高度化推進事業(ファッションビジネスの健全な創作環境の整備に関する調査研究事業)」として9月に公募を実施し、ローランド・ベルガーが委託先事業者として採用された。今年5月に公表された経済産業省「ファッションの未来に関する報告書」の中で、「10の兆候」の1つとしてファッションローの重要性に言及しており、これを契機として本ガイドラインの策定が行われる。
ガイドラインの策定にあたり、経済産業省は「ファッションの未来を考える研究会 ファッションローWG(ワーキング・グループ)」を設置する。ファッションローWGは10人の委員で構成され、座長には軍地彩弓gumi-gumi代表が就任し、副座長にはファッションローを専門とする三村小松山縣法律事務所の海老澤美幸弁護士兼ファッションエディターとローランド・ベルガーのパートナーである福田稔氏が就任する。委員には、シティライツ法律事務所の中川隆太郎弁護士やFashion Law Institute Japan事務局長の金井倫之弁理士など、長年ファッションローという分野の第一線に立ち、認知度向上に尽力してきた専門家たちが名を連ねる。
ファッションローWGは、ガイドラインに盛り込むテーマを決定し、年内に検討会を3回実施する予定。23年3月の完成を目指す。
「ファッションの未来に関する報告書」にも委員として参加し、今回のWGの副座長も務める海老澤弁護士は、「昨今の情報技術の発達や社会情勢の激しい変化等により、ファッション産業をめぐる法律問題はさらに多様化・複雑化するとともに、法律では十分カバーしきれない課題が目立つようになってきた。事業者の皆さんから『どのように対応すればよいかわからない』『自由にデザインできなくなるのではないか』との懸念や不安の声も多く聞かれ、個人的にもクリエイションの萎縮につながるのではないかと危機感を持っていた」とコメントする。
また、「本事業はファッションローを正面から取り上げる初の取り組み」であることについて、「現在のファッション産業を取り巻く法的な問題やさまざまな課題を整理し一定の指針を示すことで、事業者の皆さんがその力を存分に発揮できる、そんな未来を目標にしている。法律は、事業を加速するためのツール。ファッションローにより、ファッション産業の国内外でのさらなる発展を精一杯後押ししていきたい」と意気込みを語った。同じく同WGの委員に就任した三浦法律事務所の池村聡弁護士も「大好きなファッション業界のために、充実したガイドラインになるよう尽力したい」とコメントしている。